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イタリア幻想写真集『ヴェネツィア、霧の光景』


文・写真/篠 利幸

前編目次|【】|→スローフードの源流へ 2005年5月掲載

■土地っ子たちとワインを飲みながら



 ヴェネツィアが私を惹き付けるもうひとつの理由はそこに住む人々です。とくにワインが大好きな私は朝な夕なにヴェネツィア方言でバーカロと呼ばれる居酒屋をハシゴして歩きます。それがヴェネツィア人の生活習慣であり、ひとつの文化でもあるのですが、だからと言ってただ飲み歩いて酔っ払っているわけではありません。そんな居酒屋で撮った写真を見て頂ければわかるとおり、飲んでも手持ちで撮影した写真は少しも手ブレはしていません。なんて偉そうに言いましたが、実はフジクロームのプロビア400(最近は400F)を使用し、明るさがF2.8の広角レンズを使用すればまず手ブレはせずに写せます。高感度ながら、発色、粒状性の良さも大きな魅力です。もっとも夜景撮影ではあえて低感度のフィルムを使用して手ブレや被写体ブレを利用して光や色彩の織り成す面白さをテーマにすることもあります。







 バーカロにはいろいろな人が出入りしますが、画家や写真家など同業者も多く、その他ヴェネツィアならではのゴンドリエや船乗り、大学教授やガラス職人、石工、近所のブティックのマダムなどなど様々です。イタリア人は自分の町が世界で一番と思っているので、歴史や文化についてもよく勉強していて、本だけでは知りえないことも教えてもらえます。いわばバーカロは情報交換の場としても都合がよいのです。レストランとは違って気軽に入れる居酒屋では誰でも酒が入れば陽気になり、見知らぬ余所者でも気軽に声を掛け合います。かつてヴェネツィアではサン・マルコ広場の鐘楼がつくる日陰(イタリア語でオンブラ)でワインを売っていたところから今でもワインをオンブラと呼んでいます。土日の休日など朝から友人同士が「オンブラに行こう」と誘い合っては路地のあちこちにあるバーカロでグラスワインを飲み歩くのです。





 こうした土地っ子たちとワインを飲みながらの付き合いを重ねながら私は取材も兼ね写真を撮ったり記事を書いたりしているのです。いまではすっかりヴェネツィアに馴染み、フィルムを買ったり現像する場合でも半値近いサービスをしてくれる店の友人もできました。空港でのX線検査が厳しくなった昨今、フィルムは日本から持参しますが、もし信頼できるラボがあるのなら現像は出来れば現地で済ましたほうが安全かもしれません。

 さて、こうして撮影した写真は雑誌や本など印刷物に掲載されることが多いのですが、画家を志していた自分にとっては丁寧なオリジナル・プリントに仕上げた作品を飾って頂くのが何よりの喜びです。一番気に入っているのはクリスタルプリント仕上げですが、デジタル流行りの最近はポジフィルムの映像をデジタル・データ化し、且つ写真用のRP用紙にプリントする方式も開発されているようです。私もNHK文化センターなどで写真講座を持っていますが、20代、30代の若い方から70代、80代の高齢の方まで、写真を楽しみ、また写真展を開催したりと大変熱心です。

 写真は撮るときも見せるときも、素晴らしいコミュニケーションの手段です。どうぞ、皆さんもどんどん写真を撮り、またプリントを楽しんで下さい。−t.shino−


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