webマガジン「マカロニ・アンモナイト」月刊特集
デジタル一眼レフカメラで写す夏の夜(後編)
わずか0.08gの芸術!線香花火

文・写真/青木栄次郎

花火の写真
マカロニアンモナイト
後編目次【6】 2005年8月掲載
6.線香花火のルーツ
  〜国産線香花火の消滅と復活

復活した純国産線香花火『大江戸牡丹』:
FinePix S3 Pro マクロ90mmF2.8 ISO400 F8 1/6秒
D-レンジ:WIDE(ワイド2)



ここまで紹介してきた線香花火は、どこにでも売っている外国製。今や線香花火のなんと99.9%は外国産で、純国産のものは一度、消滅した過去をもつ。東京は蔵前に本社を構える、大正3年創業の花火問屋の老舗・山縣商店にご協力いただき、純国産線香花火消滅と復活の経緯。そして純国産線香花火の魅力についてうかがった。




■線香花火のルーツ

線香花火には大きく分けて、『長手牡丹』(写真右)と呼ばれる火薬を和紙に入れ、紙縒(こより)のように撚ったものと、『スボ手牡丹』(写真左)と呼ばれるイ草に火薬を塗ったものの2種類がある。長手が下に垂らして楽しむのに対して、スボ手は立てて楽しむという違いがある。

関西では線香花火と言えばスボ手を思い浮かべる人が多い。スボというのはワラのことで、昔は葦やワラの細い管の中に火薬を入れた花火を火鉢に立て、それにキセルで火を点けて遊んでいた、という。その格好がちょうど、仏壇の前に供える線香に似ていたことから線香花火と呼ばれるようになった。江戸には細い葦やワラが少なかったので関西で売られ人気となる。一方、関東では和紙が豊富で線香花火には欠かせない松煙もあり長手の方が普及した。






■純国産線香花火、消滅と復活

線香花火の三大産地は岡崎(愛知県)、上田(長野県)、北九州(福岡県)で、いずれも鉄砲や火薬の発達した土地に由来する。しかし、1975年になると花火が外国から輸入されるようになり、線香花火は外国製のものへと変わっていく。「上田は'85年に、三河牡丹という線香花火を作っていた岡崎は'96年、九州・八女も細々と続けていたけれど'99年に廃業。」――とうとう日本の線香花火は消滅してしまう。

日本最高の文化と芸術として花火をこよなく愛する山縣商店では、山縣常浩社長自らも、消滅の危機にあった純国産線香花火の復活に東奔西走する。そして膨大な試行錯誤の上、復活した純国産線香花火が『大江戸牡丹』である。


線香花火自体は決して採算のよいものではない。と、いうよりも手間がかかる割にはまったく採算が合わない。だからこそ、国産の線香花火は一度消滅した。単純に復活させようと試みたところで、商売を営む以上、利益の出ないものにかまけてばかりいられないのが世の常だ。しかし、山縣社長はあっさりと言い切った。「儲けなんて出ないよ。でも、国産の線香花火がなくなろうとするのを黙って見てられないよ。」――これぞ江戸っ子の心意気ってやつだ。



日本最大、そして最古の花火産地、愛知県岡崎の竹内煙火店で名人と言われた入山房江女史に教えられた人々が作った三河地方最後の長手、『三河牡丹(非売品:山縣商店コレクション)』。残念にも平成7年にその生産を終了した。



日本三大産地の一つ、北九州八女で平成11年まで作られていた、隈本煙火店の『八女の長手牡丹(非売品:山縣商店コレクション)』。丸共の長手といわれ、国産品として最後まで生産していたもの。





■純国産線香花火の種類

山縣商店では、2005年6月現在、『大江戸牡丹』、『不知火牡丹』、『有明の牡丹桜』の3種類の国産線香花火を取り扱っている。おすすめはもちろん『大江戸牡丹』だが、どれも純国産線香花火ならではの「牡丹・松葉・散り菊」といった繊細な火花を長く楽しむことができる。

今夏、数量限定で販売した、国産線香花火を選りすぐった「華くらべ」。同店では、国産線香花火の文化継承のため、このように様々な取り組みを現在もつづけている。



S3Pro
花火の撮影に使用したカメラ:FinePix S3Pro





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後編目次【6】 2005年8月掲載
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