マカロニアンモナイト
マカロニアンモナイト月刊特集 写す人 第四回
写真

写真画質はこうして創られる

−フィルムからデジタルまで−(前編)
文/中山慶太
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2005年9月掲載



§デジタル時代のフィルム画質(1)§


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写真画質の追求を熱っぽく語る井駒さんを、ナチュラS+ナチュラ1600で撮る。蛍光灯光源の色カブリがほとんど無いのは最新のフィルムの恩恵だ。そのあたりのお話も次号後編にて。
(撮影:中山慶太)


 富士フイルムのデジタル一眼レフ「FinePixS2pro」が登場したとき、そこに搭載された画像処理エンジンが注目を集めたことは記憶に新しい。当時としてはきわめてフィルムライクな(それもプロ用リバーサルフィルムの鮮烈な発色を彷彿とさせる)画像設計が織り込まれていたためである。

 このアルゴリズムは現行の「FinePixS3pro」でさらに進化し、ハードウェアには「フジクロームモード」、RAWデータ現像ソフトHyper-Utility Software HS-V2には「ベルビアモード」がそれぞれ設定されている。職業写真家が慣れ親しんだプロ用リバーサルフィルムの画質が、デジタルでも容易に手に入る時代がようやくやって来たのだ。

 そして、そこには井駒さんをはじめとするフィルム設計者たちが培ってきた画質設計のノウハウが惜しげもなく投入されている。


 デジタルが進歩を続けるいっぽうで、既存のフィルム写真はまた新たな価値を求めて進化している。そのひとつの例が、昨年(2004年)に市場に投入された高感度フィルム「ナチュラ1600」である。

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ナチュラSとナチュラ1600の組み合わせなら、ライブスポットでの僅かな照明でも撮れる。ストロボの閃光でその場の雰囲気を壊すこともない。超広角24ミリレンズは「引きが取れない」状態で活躍する。
(撮影:中山慶太/撮影協力;六本木ALFIE&クリヤ・マコト氏








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こちらはナチュラ1600を通常の35mmカメラに詰めて撮影。余裕ある感度はピッキングの指先を止めることができる。
(撮影:中山慶太/撮影協力;六本木ALFIE&クリヤ・マコト氏


「ナチュラ1600はフィルム写真の未来を考えると同時に、写真という行為そのものの原点を見つめ直して開発した製品です。それまで自分たちは“良い写真”イコール“高画質な写真”だと信じてフィルムをつくって来ました。それが間違っていたわけではないとしても、“写真は誰でも失敗なく綺麗に撮れなければいけない”という思い込みがあったのです」

 井駒さんによれば、その思い込みの好例がフラッシュ(ストロポ)撮影にあるという。

「暗い場所ではフラッシュを焚けば間違いなく写る。ところがユーザーのなかには、ノーフラッシュで撮った写真の方が“ブレていても気持ちがいい”と感じる方々が少なからずいらっしゃるわけです。特に女性層ですね。カメラや写真の理屈には興味がなくて、でも結果を直感的かつシビアに判断される。そういう方々にとって“良い写真”の基準はまったく違うと感じました」

 井駒さんをはじめとするフィルム設計者たちは、ここで自問されたのだという。

「ひとはなぜ写真を撮るのか。それは“思い出を綺麗に残したいから”という方も多いと思います。でもけっきょく、決め手になる答えがないわけですよ。たとえば女子高生が『写ルンです』で撮ったプリントをハサミで切り抜いて遊びますよね。僕ら技術屋からしてみれば“許し難い行為”だったりするわけですが(笑)、でもそういう遊びも含めて、もっと自由な写真の世界を提供するのも僕らの仕事だと思いました」

「写真が撮られるそれぞれの場面で、画質についての価値も違う。ノーフラッシュの自然な写りを好む方がいらっしゃるなら、幅広いラチチュードを持つフィルムと明るいレンズの組み合わせが現状での最適解です。そういう思いを込めてつくったのがナチュラ1600であり、フィルムカメラのナチュラSでした」



 高感度フィルム「ナチュラ1600」とコンパクトカメラ「ナチュラS」は、併せて使うことで「NPモード」での撮影(暗い場所でもノーフラッシュ撮影の領域を広げる)が可能となる。そしてナチュラSに搭載されたNPモードの露出プログラムは、フィルムのラチチュードを最大限に使うべく特別なプログラムラインが与えられているのだという。

 NPは“ナチュラルフォト”の略であり、ユーザーに自然な温度感、気持ちの良い空気感を提案する試みとして、ユーザーの静かな共感を集めている。そしてフィルムからはじまったNPモードはデジタルカメラにも搭載が進み、写真の楽しみを広げているのである。


※後編ではフィルム設計の奥深い世界、そして写真画質デザインのポイントを伺います。ご期待ください。



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S3Pro
フィルムライクな画像設計が織り込まれた
デジタル一眼レフカメラ「FinePix S3Pro」

NATURA
コンパクトカメラ「ナチュラS」
超高感度フィルム「ナチュラ1600」


マカロニアンモナイト月刊特集「写す人第四回 写真画質はこうして創られる」
前編目次【4】
2005年9月掲載
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