webマガジン「マカロニアンモナイト」月刊特集
マカロニアンモナイト
〜アナログに楽しむデジタル一眼〜
『モノクローム・タイ紀行』タイ歴代王朝を巡る旅編

文・写真/青木栄次郎

前編目次2【3】4 2006年7月掲載
[3]タイ揺籃(ようらん)の地、微笑みのスコータイ
タイ人の聖地、スコータイグレースケール画像≠モノクロ写真巨匠土門拳の「古寺巡礼」タイ豆知識(3)気になる水事情



スコータイ王朝の心臓部に当たる王室守護寺院、ワット・マハタート。スコータイ時代だけでなくアユタヤ時代にも増改築が繰り返された結果、クメール様式とスコータイ様式の建物が並び、さらにはアユアヤ様式で修復されるなど各時代の文化が反映されており興味深い。
(撮影地:スコータイ遺跡公園/ワット・マハタート)

FinePix S3 Pro 18-200mm F3.5-5.6  PLフィルター
ISO200 F11 1/90sec -0.5EV
CCD-RAW(フィルムシミュレーション:Velvia調変換)


●タイ人の聖地、スコータイ

スコータイ王朝は13世紀、当時東南アジア最大の勢力だったクメール(カンボジア)の支配を脱し誕生した、タイ人による初の独立国家。その栄華はわずか100年と短いものだったが、クメール王朝との隷属的支配関係から脱し、タイ人による初めての独立を成し遂げたこの地は、タイ人にとって誇り高い場所であり、その誕生は後の民族意識にも大きな影響を与えることになる。ここスコータイ遺跡公園を含め近隣のシーサッチャナライ遺跡公園、カンペーン・ペッ遺跡公園の3つは、当時のスコータイ王朝の栄枯の姿を残すものとしてユネスコの世界文化遺産に指定されている。広大な敷地内には貴重な歴史遺産がいくつも散在し、じっくり見るには1日あっても足りないほど。園内入り口にはレンタル自転車も用意されている。

ここでの見所は当時のクメール文化を残す王宮、寺院遺跡や仏教文化の数々。特に穏やかな微笑みを浮かべるスコータイ仏は必見。「微笑みの国」の起源を感じさせる。
比較的保存状態のよいスコータイ遺跡は、タイ揺籃期の文化を現在に見せてくれ、興味深い。そのままカラーで撮っても魅力的だが、悠久の時を重ねて現在に見せるその姿はモノクロ写真でこそ歴史の重みを感じさせ見栄えする。



(撮影地:スコータイ遺跡公園/ワット・シー・サワイ)
FinePix S3 Pro 18-200mm F3.5-5.6  PLフィルター
ISO200 F11 1/90sec -0.5EV CCD-RAW (B/W変換 トーンカーブ調整)



■グレースケール画像≠モノクロ写真

デジタル全盛の昨今、パソコンを使いカラー画像をグレースケール画像に変換する作業は実に容易なことである。しかし、それを「美しいモノクロ写真」と呼ぶかどうかはまた別次元の話。一度でもモノクロフィルムの自家現像を経験した人なら分かると思うが、モノクロ写真は単純に色がない写真でもなければ時代遅れの古い写真技術でもない。作品の本質を伝えるためにあえて階調表現(モノトーン)だけで勝負する、という強いメッセージを込めた写真表現なのだ。そのため、モノクロフィルムには現像・プリント過程において様々な階調表現を引き出すテクニックが存在した。その懐の深さにおいてモノクロフィルムの優位性は今も揺るぎ無い。

デジタルカメラやプリンターの歴史はきれいなカラー画像を出力することがひとつの目標であったため、モノクロ表現においては後回しにされた経緯がある。しかし最近では、ダイナミックレンジの拡大やモノクロ表現を改善したプリンターの登場など徐々に環境が整いつつあるようだ。


(撮影地:スコータイ遺跡公園/ワット・シー・チュム)
FinePix S3 Pro 18-200mm F3.5-5.6  PLフィルター 
ISO200 F8 1/90sec -0.5EV CCD-RAW (B/W変換 トーンカーブ調整)




(撮影地:シーサッチャナライ遺跡公園/ワット・プラ・ラッタナ・マハタート)
FinePix S3 Pro 17-55mm F2.8  PLフィルター
ISO400 F11 1/90sec  -0.5EV CCD-RAW (B/W変換 トーンカーブ調整)




■巨匠・土門拳の「古寺巡礼」

日本を代表する写真界の巨匠、土門拳の作品に『古寺巡礼』という写真集がある。奈良を中心に日本各地の名刹(めいさつ)や、仏像を氏の鋭い視線で切り取った名作の数々が収められている珠玉の作品といえよう。その作品の素晴らしさは私の陳腐な言葉では上手く語れないが、仏像の個性を実に見事に写し取り、動くはずのない仏像たちがまるで、悠久の時を越え語りかけてくるような錯覚に陥る。氏の作品にはカラー作品も含まれていたが、それらにもどこかモノクロ写真の臭いを感じさせた。それは緻密な光のコントロールで仏像に命を吹き込み、見事な階調表現で写し止められていることにほかならない。

このようにモノクロ写真を極めた人はカラーで撮らせても写真が上手い。写真学校の生徒がモノクロ写真を基本に写真を学ぶのも、階調表現、光の使い方が写真を撮る上でもっとも重要だからである。モノクロ写真を撮るということは単純にノスタルジックな気分に浸るためだけではなく、写真の本質に迫る手段なのだ。写真の腕を上げたい人はぜひともモノクロ写真を極めよう。

参考リンク
The PHOTOGRAPHER-土門 拳(FUJIFILMサイト内)




(撮影地:シーサッチャナライ遺跡公園遺跡公園/ワット・チャーン・ローム)
FinePix S3 Pro  18-200mm F3.5-5.6  PLフィルター 
ISO400 F8 1/20sec CCD-RAW(B/W変換 トーンカーブ調整)




(撮影地:スコータイ遺跡公園/ワット・マハタート)
FinePix S3 Pro  18-200mm F3.5-5.6  PLフィルター 
ISO200 F13 1/8sec -0.5EV CCD-RAW(B/W変換 トーンカーブ調整)




タイ豆知識(3):気になる水事情

海外へ行くと心配なのが水。生水を飲むのはもちろん厳禁!ホテルなら備え付けのミネラルウォーターを。日本でおなじみのコンビニもタイ全土にあるので、足りない分はそこで買ってもよい。食事はよく火の通ったものを選んだ方が無難。幸い私は屋台で食べても生野菜を食べても今のところ平気である。
食あたりの多くは睡眠不足など疲労がたまり、カラダの抵抗力が落ちているときに起こりやすいと聞いたことがある。旅先ではついつい無理をしがちだが、しっかりカラダを休めることが一番の予防策だ。






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前編目次2【3】4 2006年7月掲載


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