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webマガジン「マカロニアンモナイト」月刊特集
マカロニアンモナイト
エンジン点火! リフトオフ! 豪快に宇宙に飛んで行く
『ロケット打ち上げを見に行こう』前編

文・写真/松浦晋也

前編目次【1】234 2006年9月掲載
[1] まずはロケット見学の心得を
見に行くには覚悟が必要スペクタクル体験


雲を抜けて上昇するロケット。夕暮れの空に光が飛んでいく。
2001年6月、南米ギアナにて。



 『ライトスタッフ』や、『アポロ13』など、映画には時々ロケット打ち上げシーンが出てくる。ロケットの打ち上げというのは、実際にはどんなものだろうか。

 断言しよう。「素晴らしい」。人生で一度と言わず、二度でも三度でも見ておいて損はないものだ。天文の世界では「人生で一度は日食と流星雨を見ておけ」などと言うが、私に言わせれば見ておくべきは、「日食と流星雨とロケット打ち上げ」だ。この三つは、一度見ると癖になるというあたりも似ている。

 幸いなことに日本は、鹿児島県の内之浦(大隅半島)と、種子島という2ヵ所で、人工衛星を打ち上げられる大型ロケットを運用している。その気になれば、わざわざ海外に行かなくても、国内でロケットの打ち上げを見ることができるのだ。


晴れた日の打ち上げはとても爽快。それが夏の空であっても、ピーカンの冬の空であってもだ。空の向こうは確かに宇宙なのである。2002年9月、種子島にて。



とはいえ、見に行くには覚悟が必要


 だからといって簡単にロケット打ち上げを見ることができるわけじゃない。日本でのロケット打ち上げは多くとも年に4回ぐらい。まず、その日にあわせて休みを取って、現地に赴かなくてはならない。ロケットが見たければ、「みんなと一緒の夏休みでないと休みにくくって・・・」などと言ってはいられない。

 そして豪快に飛んでいくロケットは、実のところとても繊細な機械だ。少しでもトラブルが出るとその日の打ち上げは中止、延期となる。もちろん天候が悪くても延期だ。延期は1日とは限らない。2〜3日ということがごく普通だし、一気に一週間延期ということもある。更に困ったことには、「明日打ち上げます。明日打ち上げます」と1日単位でずるずる延期されることもあるのだ。
 度重なる延期に何処まで耐えるか、どこで諦めて撤退するか、常に情報を収集し、戦略的に判断しなくてはならない。

 さらには無事打ち上げの瞬間を迎えたとしても、きれいな打ち上げが見られるとは限らない。ロケットの打ち上げに一番大きな影響を与えるのは、雷雲だ。雷はロケットの敵である。次に、そして。特に雷雲と強風は、ロケット打ち上げを簡単に延期へと追い込む。

 雲は、それ単体では意外なぐらい打ち上げに影響しない。ロケットはあっというまに上空に抜けていってしまうからだ。
 と言うことは、たとえ上空に分厚く雲がかかっていたとしても、それが雷雲でなければ打ち上げは行われるということだ。エンジン点火、リフトオフ、轟音と共にロケットは上昇し、あっというまに雲の向こうに隠れてしまうことだってあり得る。
 時には、ずっと遠くで見ていたほうが、雲のない空にロケットが上昇していく姿が見える、なんてこともある。こうなってくると、なんのために発射場近くまで見に行ったのやら、ということになってしまう。



快晴の冬空へと上昇していくロケット。2002年12月、種子島にて。




他に比べるものがないスペクタクル体験


 バカバカしいと思うだろうか。そんなことだったら、テレビのニュース映像だけで十分だと思うだろうか。

 ところが、ニュース映像では、何も伝わっていないのと同じだ。ロケットの打ち上げは、メディアでは全てを伝えら切れない驚異の体験なのである。
 まず、轟音だ。あまりに音が大きいので、あの音は決してマイクでは伝えることはできない。そして光がある。ロケットが発するまばゆい噴射の光は、ビデオやカメラではとてもじゃないが再現することができない。
 そして、なによりも雄大なスケール感。今さっきまで目の前にあったロケットが、ほんの数分で何百kmの彼方へと消えていく。こんなものすごいスケール感を感じさせる乗り物は他にない。

 晴れた昼の打ち上げならば、飛んでいったロケットが、どんどん大気の向こう側に融けていくようにおぼろになっていくのが見える。僕らは普通、空気は透明で見えないと思っているが、確かに空気というものは存在するのだな、と感じることができる。
 適度に雲が出ている時の打ち上げなら、ロケットの噴射煙が、雲を貫いて伸びていくのを見ることができる。それは自然と人工物の織りなす雄大な彫刻だ。
 夜間打ち上げとなると、その美しさは筆舌に尽くしがたい。噴射の輝きが、星空の中を移動し、やがて星のひとつとなって消えていく?? 地表と宇宙はつながっているのだと実感する瞬間である。

 さあ、あまたの難関をくぐり抜け、ロケット打ち上げを見に行こう


朝夕の打ち上げの場合、上昇するロケットの噴射煙は途中で地球の陰から出た太陽の光を浴びることになる。地球大気をかすめた太陽光は青い成分が散乱してしまっており、赤い光になっている。すると、噴射煙の一部が赤く輝くことになる。夕焼けと同じ原理だが、その様はとても美しい。
2001年6月、南米ギアナにて。






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マカロニアンモナイト月刊特集「ロケット打ち上げを見に行こう・前編」
前編目次【1】234 2006年9月掲載


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