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マカロニアンモナイト
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『ロケット打ち上げを見に行こう』後編(種子島宇宙センター編)

文・写真/松浦晋也

後編目次567【8】最初のページへもどる 2006年10月掲載
[8] 撮影のポイントとロケットに近づくチャンス
写真撮影の3つのポイント打ち上げ延期は、ロケットに近づくチャンスになることも宇宙センターだけじゃない種子島の魅力


そして打ち上げ。この時は比較的低い雲の中に、ロケットは飛び込んでいった。上空から音だけがしばらくの間響いてくる。2006年1月。





写真撮影の3つのポイント


 前編に引き続き今回も、「写真に集中せずに、全身で打ち上げを体感しよう」と強調しておく。

 それでも写真を撮りたい向きにアドバイスをすると、種子島における写真撮影のタイミングは3つある。まず、打ち上げ直後を超望遠で狙う。次いで打ち上げ後15秒ぐらいに、空に延びていく噴煙を広角で撮影する。

 上空に雲がある場合は、ねらい所はこの2つとなるが、晴れていれば、水平線へと落ちていくロケットの軌跡を撮影することも可能だ。山がちの地形の内之浦とは異なり、海に開けた種子島は空と水平線との間にロケットの噴射煙が延びていく、雄大な風景を撮影することができる。

 私はやったことがないが、その気になれば、打ち上げ後約100秒で、固体ロケットブースターが分離するところを撮影することも可能だろう。



打ち上げ直前、射点下部への散水が始まる。ロケットが発生する大音響を和らげるための処置だ。2006年1月。




打ち上げ延期は、ロケットに近づくチャンスになることも


 色々準備を重ね、やっと島に入っていざ打ち上げ、となっても、必ず打ち上げを見ることができるとは限らない。ロケットや搭載した衛星のトラブル、天候の変化など、常に打ち上げ延期は覚悟しておかなくてはならない。

 しかし、延期になったからといって、ガッカリするには及ばない。時には延期になったからこその風景を見ることもできる。


 私が経験した範囲内では、ロケットが射点に移動してから1日延期になり、しかも延期となった当日は晴れということがあった。種子島宇宙センター内の道路は、打ち上げ準備が進んでロケットへの液体推進剤注入が始まると通行禁止になる。逆に言えば推進剤注入前ならば、自由に通行できる。射点設備の検問所前、ロケットから距離にして500mほどのところまで近づくことができるのだ。

 この時は、一日中島を走り回り、陽光を浴びる射点上のH-IIAロケットを様々な角度から心ゆくまで撮影することができた。こんなことは、延期にならなければできない。



H-IIA打ち上げ設備の検問所にて。打ち上げが延期になると、このような写真を撮影することも可能になる。2006年1月。



 延期になると打ち上げに参加する関係者は、丸1日が休養日となるため、昼間は寝て体力を温存し、だいたい打ち上げの16時間前ぐらいから出勤して打ち上げ準備にとりかかる。

 この時タイミングを見計らって南種子町内のいくつかの食堂を巡れば、JAXAやメーカーのロゴが付いた服を着た一団が仕事の話をしながら食事をしている姿を見られるかもしれない。

 聞き耳を立てる−−のは礼を失することだけれども、「がんばって下さい」と声をかけるぐらいはいいのではないだろうか。

 打ち上げ成功後に、南種子町の飲み屋で飲んでいたら、偶然、打ち上げ関係者が祝杯を上げている場面に出くわした・・・なんてこともあるかもしれない。打ち上げという仕事の人間くさい側面を感じるチャンスだ。


 また、打ち上げ時期になると、南種子町のあちこちには、打ち上げ成功祈念の垂れ幕が出る。毎回少しずつ文言が変わるので、それらを撮影しておくのも旅の思い出になるだろう。



打ち上げが延期となったセンターは、のどかな雰囲気に包まれる。心なしか射点上のロケットものどかに見える。2006年1月。




宇宙センターだけじゃない種子島の魅力


 せっかく打ち上げを見るために種子島に来たのに、打ち上げは数日延期になってしまった。仕事の都合でどうしても打ち上げ前に帰らなくてはいけない。

 そんな残念な状態になったとしても、種子島は見どころの多い観光地でもあるので、時間の許す限りあちこちを見て回ってほしい。観光については様々なガイドブックが出ているので、あまり細かいことは書かないが、とりあえず、鉄砲伝来の地である門倉岬海蝕洞窟の千座の岩屋(ちくらのいわや)、そして様々な鉄砲が展示してある種子島総合開発センター(鉄砲館)は見る価値があると断言しておこう。

 そして、打ち上げを見に行ったならば、是非とも種子島宇宙センターにほど近い、宝満神社に行くことをお薦めする。打ち上げ関係者が毎回成功祈願をする神社だ。田舎の神社らしく、緑が濃い静かな場所で、神社の裏手には、宝満池という池がある。種子島最大の淡水池だ。人のいない、静かな水辺を堪能することができる。

 私は見たことはないが、7月と8月には水面一面に蓮の花が拡がるそうである。

 疲れた時には、温泉へ。南種子町にはいくつか温泉があるが、私のお薦めは、宇宙センターと南種子町中心部との間にある河内温泉センターだ。地元の人たちと一緒に温泉に浸かり、元気な子供達がはしゃぐのを見ていると、つくづく「ここに住んでみたいなあ」という気分になる。午前10時から午後9時までやっているし、小さな食堂もあるので、打ち上げが延期になったら、ここで1日沈没を決め込むのも悪くはない。



打ち上げ時の地元の垂れ幕。こんな垂れ幕をあちこちで見ることができる。2006年1月。




 さあ、ここまで読んで、ロケット打ち上げを見に行きたいと思ったろうか。

何度も書いたが、打ち上げ見学はどうしても賭けの側面がある。しかし、それでも、ロケット打ち上げには見る価値がある。私にはそう言い切れる。


さあ、ロケット打ち上げを見に行こう。


晴れた日の打ち上げでは、空まで延びた噴射煙の柱が、風に乗ってゆっくりと崩れていくのを見ることができる。巨大な力が駆け抜けていった後に、長い長い余韻が残る。さあ、打ち上げを見に行こう。2002年12月。




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マカロニアンモナイト月刊特集「ロケット打ち上げを見に行こう・後編」
後編目次567【8】 2006年10月掲載


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