TOP > 特集目次 > 国際宇宙ステーションを見てみよう目次 > 1
webマガジン「マカロニアンモナイト」特集
マカロニアンモナイト
デジタルカメラで衛星の撮影にも挑戦!
国際宇宙ステーションを見てみよう

文/松浦晋也 

【目次】|【1】|234 2009年2月掲載
1.国際宇宙ステーション(ISS)を
  見てみよう

とにかく大きいのだ日本の実験施設「きぼう」どの程度明るく見えるか



国際宇宙ステーションから撮影された、南米上空の大気層を通過して赤く染まった夕日。2008年4月26日撮影。(Photo by NASA)



 夕方から夜にかけて、ぼけっと空を見る時間を持ったことがあるだろうか。青かった空が夕焼けに染まり、やがて夜の闇が拡がって星が見えてくる。
 運がよければ、その中を明るい光点が移動していくのを見ることができるだろう。宇宙人のUFO…のはずはない。飛行機…かも知れないが、ずっと見ているとすっと消えて、二度と現れないことがある。

 これは実は人工衛星である。夕方と夜明けの時間帯、地上は夜だが、人工衛星が回っている高度には光がさしているという状況が生まれる。すると、衛星の表面で反射した光が地上に届き、地上からは輝く光点が暗い夜空を移動していくように見える。
 衛星の他に、衛星を打ち上げるのに使ったロケットの最終段*も地球を回っている。それもまた、輝く点として夜空を横切っていく。

 衛星が地球を巡る軌跡を“軌道”という。軌道には高いものも低いものもあるが、距離が近いものはよく見えるのが道理で、よく見える衛星はだいたい高度200kmぐらいから800km程度の低い軌道で地球を回っている。地上でいえば、東京・名古屋間から東京・広島間ぐらいの距離を縦に伸ばしたあたりを通っているわけだ。
 これまた当然のことながら、一般的に小さな衛星よりも大きな衛星のほうが見えやすい。
 では、低い軌道を巡る、もっとも大きな衛星は何か?

 それが、今回の主題である国際宇宙ステーション(International Space Station=ISS)だ。




ISSはとにかく大きいのだ


 ISSは、1998年から軌道上で建設が進められている有人施設だ。現状では常時3人の宇宙飛行士が滞在しており、ほどなく6人に増員される予定となっている。 



 これが2009年2月初頭時点でのISSの姿である。サッカー・グラウンドと同じぐらいの大きさを持つ構造物が、今現在、地球を回っているのだ。なんとも凄まじい話だが、まごうことなき事実である。(Illustration by NASA)



●ISS完成予想図(Illustration by JAXA)。

これはISSを進行方向前方から見たところ。最前面左に欧州実験モジュール「コロンバス」が、右に日本モジュール「きぼう」が付いている。




“国際”と言う言葉から分かるように、ISSは国際的な協力体制で建設と運用を実施している。中心となっているのはアメリカ。さらにロシア、欧州11カ国**、日本、カナダが計画に参加している。

 日本が提供する実験施設「きぼう」は、

  • 宇宙飛行士が実験を行う『船内実験室』(「きぼう」全体のコントロールも行われる)
  • 倉庫となる『船内保管室』&『船外パレット』
  • 真空の宇宙空間で実験を行う『船外実験プラットホーム』
  • 実験や作業の支援に使われる『ロボットアーム』
  • 「きぼう」と筑波宇宙センター間で双方向通信を行う『衛星間通信システム』

から構成される複雑な施設である。

 すでに船外実験プラットホーム以外の設備は、アメリカのスペースシャトルによってISSに運ばれ組み付けられている。船外実験プラットホームは、今年5月のシャトル打ち上げで宇宙に運ぶ予定だ。それに先だって2月半ばからは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一宇宙飛行士が、日本人としては初めて、約3ヶ月間の宇宙滞在をISSで実施することになっている。



●日本モジュール「きぼう」の完成予想図(Illustration by JAXA)

日の丸の付いた横長の円筒形が本体の『船内実験室』、その上に帽子のように載っているのが『船内保管室』、船内実験室から伸びている棒のようなものが『ロボットアーム』、船内実験室に取り付けられた複雑な形状の台座が『船外実験プラットホーム』、そこから突き出ている複数の箱形が『衛星間通信システム』、舳先のような造りの部分が『船外パレット』。

真空の宇宙空間に露出した船外実験プラットホームを持つことが、「きぼう」の特徴である。このような設備を持つモジュールは他にない。

関連リンク→JAXAサイト<宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター>



 ISSはとにかく大きい。基本的には内部が空気で満たされており、人間が宇宙服なしで生活可能な与圧モジュール部分と、そこから大きく張り出したトラス、トラスから広がった太陽電池パドルによって構成されている。完成時の大きさは、トラスの差し渡しが108.4m、そこから直角に広がった太陽電池の全幅が74m。これは、サッカーのグラウンドの広さ(縦105m×横68m)とだいたい同じだ。

 もちろん、サッカー・グラウンドと同じ大きさの平面が広がっているわけではないので「おお、宇宙をサッカー・グラウンドが飛んでいる」というように、形がきちんと見えるわけではない。肉眼で見ればあくまで輝く点だ。
 では、どの程度明るく見えるかというと、多分に運次第のところがある。まず、なるべく自分の頭上を通過するタイミングを狙うことだ。ISSはおよそ高度350kmの軌道で地球を周回している。つまり、自分の頭上を通過すると、自分とISSの距離は350kmということになる。これが、地平線近くを通過する場合には、彼我の距離は1000kmを超える。当然、見え方に差が出る。
 また、ISSには太陽電池パドルやラジエターといった、平面の構造物が付いている。これらで反射した太陽光が、うまく地上のあなたの目にはいると、ISSはひときわ明るく輝いて見えることになる。明るく光るISSを見ることができるかどうかは、その時々の運だ。何回も観察に挑戦するしかない。


 ステーションがどのような面で構成されているかが良く分かる写真。進行方向後ろから撮影したものだ。(2008年6月撮影) 
長大な太陽電池パドルは、完成すると左右に二対ずつ。合計8枚になる予定。太陽電池パドルの間にある左右2枚の白く写る平面は放熱用のラジエターである。
一番手前の、X字型に太陽電池パドルを拡げているのは、ドッキング中の欧州の貨物輸送船「ATV」。ISSへの物資輸送は、スペースシャトルに加えて、ロシアの「プログレスM」、欧州の「ATV」、日本の「HTV」という3種類の無人輸送船が行うことになっている。日本のHTV初号機は今年の夏に打ち上げ予定だ。(Photo by NASA)

関連リンク→JAXAサイト:プログレス補給船によるISSへの補給フライト欧州補給機(ATV)によるISSへの補給フライト宇宙ステーション補給機(HTV)



 ただし、一つ確実なことがある。スペースシャトルが打ち上げられて、ISSにドッキングしている期間中は、明るく見える可能性が高いということだ。スペースシャトルは大きな翼を持っている。そこに太陽光が当たって反射すれば、それだけ大きく、明るく見えることになる。



 スペースシャトルはISSの進行方向前面にあるドッキング・ポートにドッキングする。この写真は2005年8月にスペースシャトル「ディスカバリー」(フライトナンバーSTS-114)がドッキングした際に撮影されたもの。この時まだ日本モジュール「きぼう」は装着されていない。(Photo by NASA) 



*注:ロケットの最終段
 通常のロケットは2〜3段構成だ。この一番上の段を最終段という。最後に衛星を加速した一番上の段は、衛星を放出して機能を停止すると、運んで来た衛星と同じ軌道を回り続ける。

**注:欧州11カ国
 ベルギー・デンマーク・フランス・ドイツ・イタリア・オランダ・ノルウェー・スペイン・スェーデン・スイス・イギリス
 ※ISS計画への参加国は、1988年9月に締結された政府間協定により定義されている。





Back 特集・目次<--  -->Next 2 ISS観察の準備



マカロニアンモナイト特集「国際宇宙ステーションを見てみよう」
【目次】|【1】|234 2009年2月掲載
表紙へ特集目次へ

このページへのリンクについて
Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部