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webマガジン「マカロニアンモナイト」特集
マカロニアンモナイト
デジタルカメラで衛星の撮影にも挑戦!
国際宇宙ステーションを見てみよう

文/松浦晋也 

【目次】123|【】| 2009年2月掲載
4.国際宇宙ステーション(ISS)の
  写真撮影にチャレンジ!

初めてISSを見るならコンパクトなデジカメで挑戦ISSの形を捉えるのは…



雲さえ出ていなければ、地上から良く見えるタイミングの国際宇宙ステーション。直下の地表は夜で充分暗く、上空のISSには、大気層を通過しない強烈な太陽光が横からあたり明るく輝くいている。2006年7月24日撮影。(Photo by NASA)



 さあ、ISSがあなたの頭上を通過する当日が来た。天候は晴れているだろうか。晴れであっても、その時間になったらISSが見えるそのあたりだけ雲が流れていた、というようなことも起こりえる。運を天に任せ、とりあえずは祈っておこう。

 見る場所は空が開けているほうがいいが、ISSの見える方角に障害物がなければどんな場所でも構わない。ぼけっと空を見上げていても他人の邪魔にならないことだけが条件だ。

 初めてISSを見るなら、カメラで写真を撮ろうなどという欲は捨てて肉眼でじっくり観察しよう。手持ちの双眼鏡があるなら、それを持っていくのもいいだろう。

 予定時刻になると、ISSの光が空に現れるはずだ。音もなく、本当にすっと現れる。明るさは夜空の1等星から0等星ぐらいである。

 動きはかなり速い。「あれよあれよ」と思っているうちに、空を横切り、またすっと音もなく消える。飛行機かと思うかも知れないが、飛行機の場合は衝突防止灯を点滅させている。ISSは点滅しない。飛行機と見間違えることはないだろう。



<撮影と説明:ammo編集部>
電線に間に見える小さな光点が国際宇宙ステーション。露光時間が短いと点にしか写らないので、ちょっと寂しい。
撮影地:東京都(2009年1月19日) 使用カメラ:FinePix F30 撮影条件:風景モード  ISO800 F2.8 1/4秒 フラッシュ発光OFF 三脚使用



 タイミングによっては、ISSが赤っぽく見えることもある。これは、軌道上のISSが地球の大気をかすめて青の成分が吸収された太陽光を浴びているためだ。そう、赤く見えるISSは、夕焼けないし朝焼けの中を飛んでいるのである。この時、ISSから地球を見ると、朱に染まった地球の縁に太陽が隠れていくのが見えているわけだ。宇宙飛行士らによると、宇宙から見る日の出、日の入りはことのほか美しいということだ。
 サン=テグジュペリの「星の王子さま」には、王子さまが故郷の小惑星で椅子を動かしながら1日に44回も夕暮れを見るというエピソードが出てくる。さすがに44回というのは無理だが、宇宙飛行士達は毎日、15回の夕焼けを軌道上から眺めているのである。


コンパクトなデジタルカメラで
ISSの撮影に挑戦する!


 先ほど、「写真を撮ろうなどという欲は捨てて」と書いたが、マカロニアンモナイトの読者ならば、見ているうちに写真を撮りたくなるだろう。
 一番簡単な撮影方法は、ISSの動く軌跡を撮影することだ。用意するのは数十秒程度の長時間露光ができるカメラ。コンパクトデジカメで構わない。三脚にカメラを乗せて、感度を低感度にセット。夜空にISSが現れたら、シャッターを押して長時間露出を行う。
 すると、ISSはすうっと伸びる光の線として写ることとなる。広角で付近の光景も同時に写し込んで、風景写真に仕上げるのがいいだろう。

 JAXAのホームページには<皆さまから送っていただいたISSの写真>というページがあって、全国の写真ファンが撮影したISSの写真が集まっている。撮影条件も掲載されているので、参考にして色々と工夫してみよう。




<撮影と説明:ammo編集部>
少し明るさが残る夕空を飛ぶ国際宇宙ステーションの軌跡。カメラを三脚に固定し「夜景モード」で撮影。
※撮影のポイント:レリーズの使えないタイプのカメラの場合には、セルフタイマーを使って静かにシャッターをスタートさせよう。マニュアルフォーカスや無限遠設定が無いカメラの場合、もしも暗い夜空でカメラのAFが迷うようなら、カメラを一旦遠くの建物などに向けてピントを合わせてシャッターを押し、セルフタイマーのカウントの中に、カメラをISSの方向に向け直して撮影してみよう。
撮影地:東京都(2009年1月19日) 使用カメラ:FinePix F30 撮影条件:夜景モード  ISO100 F2.8 15秒 フラッシュ発光OFF 三脚使用



<撮影と説明:ammo編集部>
金星の近くを飛行する国際宇宙ステーションの軌跡。この日はISSとの距離が720km以上もあったためか、現れたISSの輝きは弱めでした。
撮影地:東京都(2009年2月6日) 使用カメラ:FinePix F30 撮影条件:夜景モード  ISO100 F2.8 15秒 フラッシュ発光OFF 三脚使用




<撮影と説明:ammo編集部>
クリスマスイルミネーションの上を飛行する国際宇宙ステーション。デジタルカメラの動画モードで手持ち撮影。とりあえず三脚なしでも撮影できる、もっともお手軽な方法。
※撮影のポイント:ISSが真上を飛ぶような、明るく見える好条件のタイミングで写すのがコツ。またもしも暗い夜空でカメラのAFが迷うようなら、遠くの建物などに一度ピントを合わせてから動画撮影をスタートさせてみよう。
撮影地:東京都(2008年11月21日) 使用カメラ:FinePix F30 





超望遠レンズで拡大撮影
ISSの形を捉えるのは超高難度

 JAXAへの写真投稿者の中には、フィールドスコープにカメラを接続して、ISSの形が判別できる写真を撮影している強者もいる。どの程度の装備が必要か簡単に計算してみたが、ISSのディティールを写し取ろうとすると、35mm換算で焦点距離2000mm以上のレンズを使う必要がありそうだ。
 これぐらいの焦点距離の望遠レンズとなると、がっちりした架台に乗せて正確な追尾を行えるようにする必要があるだろう。

 とはいえ、実際に撮影している人がいるのだから、何もやらずに諦めるのもつまらない。無理を承知で撮影に挑んでみた。手持ちの高倍率ズームのコンパクトデジカメに、1.7倍のテレコンバーターを付けて、焦点距離を710mm相当まで伸ばし、感度を最高に設定し、手持ちでISSを狙う。露出は判断材料がないので、とりあえずプログラムオートのままにした。手ぶれ防止は、カメラ内蔵の手ぶれ補正機構に望みを託すことにする。

 ‥‥が、見事に失敗。

 一応それなりの大きさの光の点に写ったものの、手ぶれがひどくて、とてもマカロニアンモナイトの読者に見せられる写真ではない。次のISS撮影チャンス時にはシャッター速度優先で撮影してみよう、と思っていたのだが、当日はあいにくの曇り。ついに原稿の締め切り日となってしまった。
 やってみて分かったのは、きちんと焦点を合わせるのが意外に大変だということだ。使用したカメラにはマニュアルフォーカスが付いており、事前に空に出ていた金星を使って焦点を合わせたのだが、無限遠の焦点は単にレンズの可動範囲の端を使えばいいというものではなかった。私のカメラの場合、やや前気味のほうが無限遠にきちんとピントが合った。どうやら、無限遠のピントには、カメラ毎の個体差が存在するようだ。

 コンパクトデジカメにこだわらずに、一眼レフを使用すれば、もう少し楽にピントも露出も合わせることができるはずだ。ただし、いずれにせよ、夜空を高速で移動する輝点を拡大して撮影するのは、そう簡単なことではないだろう。




スペースシャトル「エンデバー」から撮影された、カラフルな地球と漆黒の宇宙の境界を背景に飛行する国際宇宙ステーション。2008年11月28日撮影。(Photo by NASA)



 かつてフィルムを使っていた頃、地上から衛星をその形が分かるぐらい精細に撮影することは、アマチュアの手に負えることではなかった。アメリカ空軍は冷戦時代、地球を回るソ連の軍事衛星を撮影するために、巨費を投じてハワイのマウナケア山頂に大規模な撮影設備を建設した。それぐらいの大事業だった。

 しかしデジタル技術が発達し、差し渡し100mという巨大なISSが地球を回るようになった今、軌道上の人工物体をアマチュアが撮影することは、全く無理ということでもなくなっている。

 面白い時代になったものだ。

 チャレンジ精神をくすぐる被写体が、今この瞬間も地球を回っている。興味のある方は撮影に挑戦してみてはいかがだろう。






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