* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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117 焚き火をする男たち

 焚き火が好きだ。

 と、あるところで書いたら、「男はみんな焚き火が好きなものですよ」という女性の言葉が返ってきた。なんだ、自分だけが特別に好きなんじゃなくて、誰でも好きなのかとちょっとガッカリしたが、先週に書いた通り、火鉢に火を入れようと決まるやいなや、男三人、わっと表へ出て我先にと火をおこし始めたのだから、やはり、男の焚き火好きというのは、ある種先天性のものなのかもしれない。

 大昔、東映ヤクザ映画が華やかりし頃、映画を見終わった男たちが、みな健さんのように、肩で風を切って映画館を出ていったという話は有名だが、僕の場合は、そうはならなかった。そのかわり、焚き火をする時に限っては、今も気分はジョン・ウェインや三船敏郎である。今は少々歳もとったので、時々志村喬と三船敏郎がごっちゃになっているような気もするが。

 ジョン・ウェインは、ジョン・フォード監督の西部劇映画に出てくるガンマンやカウボーイであり、三船敏郎や志村喬は、黒澤明監督の映画に登場する野武士たちである。彼らは、よく野営をし、焚き火をする。映画でいうと、戦闘が間近に迫った一休みのシーンである。物語的には、何も起こらない。カウボーイはコーヒーを煎れ、野武士のほうは、小枝をパキンパキンと折っては火にくべる。火がぱちぱちと音を立てる。何でもないシーンだが、彼らが実に男らしくてかっこいい。だから、僕も焚き火をするときは、顔がたぶんミフネになっている。


2002年01月09日掲載

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