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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




122 “ぜんぜん”な日々

 受賞による身辺への変化が起こるのは、もしかしたら贈呈式やらシンポジウムなどが行われたあたりからかもしれない。と、そう考えたとき、以前にも同じようなことがあったことを思い出した。

 かれこれ10年と少し前の1991年、自作の「マドモアゼル・モーツァルト」が、舞台ミュージカル化された時のことだ。不勉強にして、僕はその時、音楽座というミュージカル劇団も、音楽を担当するTMN(当時)の小室哲哉さんという方も全く知らなかったが、舞台美術担当の朝倉摂さんや、共催のフジテレビや後援のアンフィニ(MAZDA)ならよく知っていた。そうした、なんだか有名でお金持ちそうなプロジェクトが、東京のみならず、日本全国数十カ所を公演して回るというのだから、これは話題にならないわけがない。しかも、ご本家「週刊モーニング」誌でも、大々的にバックアップしてくれているし、全国紙での全面広告も行われた。もしかして、本はたちまちベストセラーで、明日から僕はマスコミ引っ張りだこの有名人? と思っても、何ら不自然ではない状況に思えた。このときも、友人や知人は判を押したように尋ねてきた。

「どう? 仕事の電話が断り切れないくらい入ってる?」
「取材がすごいんじゃない?」

 だが、答えは「ぜんぜん」であった。
 最初の公演予定が告知され、その後数年間に渡って幾度となく再演を重ねてきたが、その間、原作者に取材申し込みの電話が掛かって来ることは、ただの一度もなかったのである。


2002年02月13日掲載

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