* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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123 意志がもたらすもの

 原作者とはそんなものかもしれない。
 そもそも僕がミュージカルを作ったわけでもなんでもない。
 ミュージカルの主人公は、歌であり踊りであり、あくまで役者さんである。
 ミュージカルのファンは、原作者などには興味がない。

 たぶんそういうことだろうと僕は考え、ちょっと肩透かしを食らった気分で、その後もマスコミに注目されることのない地味なマンガ家生活を続けてきたわけだが、しかし、今度の大賞の主人公は他の誰でもない、僕である。さぞかし、本も売れ、新聞社や雑誌社の取材申し込みの電話が鳴りまくるであろうことを想像したかというと、そんなことはない。もともとリアリストな性格の上に、ミュージカルの時の経験が、僕をすっかり冷静で客観的な目を持つ人間に育て上げてしまっていたのである。

 たなぼた的な「幸運」はないわけではない。
 が、それは持続するものでもない。
 自分の意志で掴み取った「幸運」のみが実現する。

 これは、近年僕が得た実感である。
 たとえば、「マドモアゼル・モーツァルト」はミュージカルにしたいと思って描き始めたものだし、「F氏的日常」は、地味だけど、かって誰も描かなかったタイプのヒトコママンガであり、何かしら賞を取っても悪くない作品なのかもしれないと密かに考えてきたからだ。
 そして、いま僕が密かに恐れていることは、このままマンガ家を続けてしまうと、もしかしたら文化勲章を背負わされてしまうのではないかということである。(笑)

 さすがに、これだけは、文末に(笑)印を付け加えておくことにする。


2002年02月20日掲載

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