* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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125 望めば、それはやってくる

“望めば、それはやってくる”は、映画「フィールド・オブ・ドリームス」のメインテーマであった。

 僕にも、“望むから、やってきて欲しいもの”がある。
 それは、大昔描いた「私鉄前線」という作品のナンセンス・ミュージカル映画化である。舞台化でもいい。贅沢は言わない。
 この作品そのものは、絵もへたくそで古臭く、今や見るに耐えないものである。出来れば、この世から永遠に消えて欲しいと思うくらいであるが、その設定については、今なお大変気に入っている。

 たとえば、こんな話である。 
 主人公は、都市近郊を走る万年赤字路線のH電鉄を定年退職した瀬川春太郎一家で、彼らはなんと現役の通勤電車に住んでいる。万年赤字会社故に退職金を現金では払ってもらえず、通勤電車の一部が現物支給されたというわけだ。そこに春太郎を始め、彼の母や息子夫婦とその子供の四世代が暮らしている。サザエさんちに、波平さんのお母さんが加わった感じだ。“家”には、もちろんトイレもキッチンも備わっていて、狭いながらも居間や和室もある。若夫婦の夜の営みも行われる。現役の通勤電車だから、都会の時もあれば、田舎の時もあり、当然、一般乗客との軋轢がある。マンガでは、そうしたナンセンスなドタバタを一話読み切りの形で6話ほど描いたが、映画にするなら、主人公たちにある種の目的や困難、全体を通した起承転結が必要になってくるだろう。たとえば、路線の廃止が実行されようとする中、主人公たちの活躍によって、渋谷・新宿への乗り入れを獲得するといったような。

 そんなバカバカしいミュージカルを(そう、あくまでミュージカルとして)、昔から観たい観たい、というより作ってみたいと思っているのだが、望み方が足りないのか、なかなか“それはやってきて”くれない。


2002年03月06日掲載

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