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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




132 行き着くところは…

 現在、あらゆるマンガ出版物の中で、どのジャンルが最もシェアが高いのか僕は知らないが、まあ男性向けでは、たぶんエッチものやスポーツもの、女性向けだと、恋愛ものや、やはりエッチものなどが多いであろうことは想像に難くない。

「うろしま物語」(大田出版刊)という作品は、僕の最も新しい単行本だが、これは僕の作品には極めて珍しく、ふんだんにセックス描写がある。ふんだんにあるというより、最初から最後まで“しっぱなし”というほうが正しいかもしれない。なにしろ、媒体が「EROTICS」(大田出版)という誌名が示す通り、新感覚のエロティシズムを追究するマンガ誌だから、参加する以上、そういったシーンを入れないわけにはいかないのだ。

 ならば、ということで、僕は、町の人がいつでもどこでも老いも若きも誰とでも、とにかく四六時中セックスをしている町に主人公が迷い込む話にした。最後はなぜかホラー作品になってしまうが、これなら、別に物語に関係のない、とってつけたようなサーヴィス・シーンを混ぜ込む必要はない。

 というわけで、おそらく世界で一番頻繁にセックスをしているマンガを僕は描いた。これだけセックスがふんだんに盛り込まれていれば、きっとこの「うろしま物語」は、一般受けするに違いない……と思ったら、やっぱり、いつもの僕の単行本に対する反応と変わらない。つまり、特に一般受けする様子がないのである。

 ある日、関西に住む友人が、電話で僕にこう言った。
「このマンガは、いっぱいエッチを描いてるけど、まったくそのベクトルが逆向きやから、“そういう目的”の人には読まれへんのと違う?」

 まあ、その通りである。
 というわけで、僕が満を持して描いた“エッチ”ジャンルのマンガも、ベストセラーにはなりそうもない。この分だと、僕がスポ根マンガを描いても、嫁姑マンガを描いても、花粉症大河マンガを描いても、たぶん同じ結果が出てしまうに違いない。結論を言えば、僕は何を描こうと、良くも悪しくも「福山庸治」というジャンルのマンガになってしまうのであろう。


2002年04月24日掲載

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