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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




136 プロへの道程(2)

「福山くんは、プロになるとね?」

 僕の中では、もう既にプロ並みと思っていた塩次くんから、そう訊かれて、僕も同列に扱ってもらっていることに、いくらか興奮した。が、僕は己の実力もよく知っていた。到底プロのミュージシャンでやっていけるようなタマではないことを。

「俺はプロになる」と言って、塩次くんは日本有数のブルース・ギタリストになった。僕は僕でプロのマンガ家になり、それなりのポジションを築いてきた。僕らに共通しているのは、共に大学在学中にデビューし、それをそのまま職業にしたことだろう。しかも、これといって師匠もいなければ、教科書もなく、見よう見まねで、それぞれのスキルを身につけていったということだろうか。もちろん、そのための学校にも行っていない。というより、昔はマンガ家養成学校やギタリスト養成学校などなかった。いや、仮にあったとしても、僕らには必要なかったと言ったほうが正しいかもしれない。

 しかし、その必要なかったマンガ家養成学校に、僕は非常勤講師として通うことになった。昔と今とでは、マンガを取り巻く環境も若者気質も激変した。学校の意味も位置づけも、今と昔とでは、ずいぶん変わってしまっている。現役マンガ家の僕が、よくありがちな「豪華講師陣」への名前貸しにとどまらず、週一にせよ、実際に教壇に立つというのも、その変化の一つと言える。僕には必要なかった学校も、人によっては必要ということがある。そういうマンガ家志望者が増えているのは確実で、一方で、マンガの描き方も学校で会得する、というのが当たり前の時代が来たのかもしれない。


2002年05月22日掲載

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