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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




137 壁紙という名の騒音

 新築の建売住宅に移り住んだのは、昨年の11月。
 その半年後、やっとダイニングルームの壁紙を貼り替えてもらうことになった。
 新しい壁紙は、石壁のマチエールを持った白。
 白すぎて目に痛いほどだが、その壁を背景に鉢植えの花などを配すと、凛とした美しい空間が出来る。

 元々の壁紙は、ツタのような植物の絵が描かれていたが、目にチラチラとうるさい上に、部屋全体が煩雑に感じられて落ち着かなく、入居以来、ずっと気に入らなかった。それより何より致命的なのは、壁紙の絵があまり上手くないのである。僕は絵を生業としている人間なので、壁紙が目に入れば、どうしても僕好みの絵になるよう、頭の中で修正を加えてしまう。いっそ、塗りつぶしてしまおうかとの衝動に駆られることも。

 ダイニングルームは、僕にとってはくつろぎの場だ。たまにそこで仕事もするが、基本的には、仕事から離れて、だらりと過ごす空間である。その空間のほとんどを、あまり上手くない絵が描かれた壁紙が占拠していて、僕の絵描きとしての目をイライラと刺激する。それはどう考えても疲れることだ。

 先日、業者がやって来て、壁をまたたく間に無垢な白に変えていった。
 僕は余計な“仕事”から開放された。

 


2002年06月05日掲載

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