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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




138 表情のない音楽(1)

 目にうるさいものがあれば、耳に脱力なのがある。

 某焼き肉チェーン店や某ファミレス、あるいは某ホームセンターなどの量販店で耳にすることが多いのだが、まったく表情のない音楽というものがある。いや、音楽のようなものと言ったほうが正しいかもしれない。
 音に強弱がなければ、ノリもテンションもリズム感もない、音にヴィブラートやアタックが掛かることもなく、ひたすら棒唄い。とにかく、譜面にあるオタマジャクシの音程と長さだけを、機械のような“正確さ”で、再生しているだけの音楽……と言うには、あまりにも音楽的要素が欠落したものが、それらの店で、常時流れているのだ。少しでも楽器に覚えがある者なら、もう少しなんとかしようと思う演奏であり、一旦気になり出すと、やけに気になってくるシロモノである。しかも、レパートリーが“歌のない歌謡曲”だったり、誰でも口ずさめるくらい有名なポップスの名曲だったりするから余計にだ。

 日本全国に、たくさんの音楽大学があり、音楽の専門教育を受けた人々が、毎年数千人単位で卒業している時代なのに、よりによって、どうしてこんなヘボな音楽を選び、延々流し続けるのか? パートであろう店員に訊いたところで、答えがわかろうはずもなく、謎は深まるばかりである。
 


2002年06月12日掲載

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