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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




149 台所は僕のもの

 僕は二度結婚している。
 前の結婚では、僕はマスオさんだったこともあり、台所に立つことはあまり多くなかった。しかし、家事を手伝わないと妻によく非難された。主婦が何人もいる家で、僕まで料理を始めたら、狭い台所がますます狭くなるじゃないかと、妻の言い分はそういうことではないと知りつつ、僕はそう言い訳をした。

 再婚した相手は、台所仕事が好きではなかった。
 掃除や整理整頓は人一倍好きだが、料理を作るとなると、ひどく不機嫌になる。不機嫌になられても困るので、僕が料理を作るようになった。いろいろ問題はあるが、夫婦間の棲み分けが出来るという意味では、これはこれで好都合ではあった。

 僕は、料理を作るのが苦ではない。
 というより、むしろ、非常に好きといっていいだろう。
 作ることなら、何でも好きな僕なのである。料理もまた例外であるわけがない。マスオさんを辞め、再婚した相手は料理が嫌いときている。
 となると?

 そう、この家の台所は、僕のものなのである。
 誰にも邪魔されず、僕が自由に使えるのだ。
 僕は、画家がアトリエを手に入れたような、そんな気分だった。
 最近では、もしかしたら、僕がマスオさんであることを辞めたのも、自分専用のマイ台所が欲しくて、だったのかと思うことさえある。


2002年09月04日掲載

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