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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




158 左脳型のゲイジュツ家

 バリバリ「右脳型」人間であるはずの僕が、実は「左脳型」人間であったという衝撃の「事実」は、その場にいた、僕のことをゲイジュツ家と信じて疑わない全員を驚かした。茶飲み話に過ぎないにせよ、それはそれなりに予定調和を目標としているところがある。その予定調和が、いままさに崩れかかろうとしていたのだ。

「それは、僕が絵描きではなく、マンガ家だからですよ」

 僕が咄嗟に思いついてそう言うと、血の巡りの良い順に、「あ、そうか」「なるほどね」という言葉が返ってきた。

 マンガの場合は絵も大切だが、それ以上にドラマであることが重要である。ドラマは、絵のように感性だけで書けるものではなく、論理性や緻密な計算といったものがどうしても必要となってくる。たとえば、キャラクターにはブレがあってはいけないし、辻褄の合わない話は、ドラマ以前の問題だ。常に読者の裏をかこうとするような計算も大切だ。骨格のしっかりしたドラマを描くマンガ家は、特に意識せずとも高い論理性や計算技術を身につけているはずであり、その能力が生まれながらに備わっている人は天才ということになる。

 それが、たぶん世に言う「左脳」の機能なのであろう。
 しかし、論理性と計算だけでは、マンガは面白くならない。そこには、やはり「右脳」の持つ感性というトッピングが必要だ。
 マンガを描くということは、実に高度な精神の営みなのである。


2002年11月13日掲載

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