* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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170 サムゲタン“のようなもの”(2)

 ソウルで食べたサムゲタンと、僕の作った“のようなもの”の味が似ていれば、無事サムゲタンを作ったことになる。

 ところが、なぜか、その時食べたサムゲタンの味を全然覚えていないのである。トリが丸一羽ではなく、少ししか入っていなかったこと、白濁したスープだったこと、韓国料理にしては珍しく淡泊な味だったこと、そして、まあまあ美味しく思ったという記憶だけはあるが、どんな味だったかはすっかり忘れてしまっている。ボラれた記憶だけが、メモリに上書きされたのかもしれない。

 しょうがないので、そのあと、本場の味ではないかもしれない、日本の某焼き肉チェーン店で食べたサムゲタンの味を思い出そうとしたが、これまたどうしたことか、どんな味だかさっぱり思い出せない。こちらは明朗会計だ、ボラれたわけではない。若鶏が丸一羽入っていて、スープが白濁し、薄塩の淡泊な味だということまではしかっり覚えている。
 だが、僕の作った“のようなもの”と似た味かどうかとなると、まるで記憶に自信が無くなってしまうのだ。サムゲタンとは、それほど記憶に残らないような印象の薄い味のものなのか、それとも僕の舌の記憶力が悪すぎるのか。あるいは、もしかしたら、僕の作った“のようなもの”の味が、あまりにもサムゲタン離れしているせいで、それまで覚えていた本物の味の記憶を、一瞬のうちに蹴散らしてしまったということも考えられる。

 宴席に出してみた。

「美味しい」
「いい味出てる」
「こんな感じ、こんな感じ」

 とりあえずの反応は、なんとか食べられる水準のものではあったようだ。

 

……マカロニ・アンモナイト編集部より……

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2003年02月12日掲載


2003年02月12日掲載

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