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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




171 ビンボー舌とグルメ舌

 きっと僕の舌は、ビンボー舌なのであろう。
 国産のビールなど、どれを飲んでも、ほとんど同じ味にしか感じない。コップ二杯目以降は、発泡酒とビールの違いもわからないくらいだ。いや、目隠しテストされたら、最初の一口から間違ってしまうに違いない。
 ワインや清酒になると、さすがにピンからキリまであって、美味い不味いに好き嫌いも出てくるが、どっちみち高い酒を飲む機会など滅多にないので、不味過ぎない程度の安酒をそれなりに楽しめるという意味では、やはりビンボー舌なのである。

 といって、味覚オンチではない。
 と思う。
 ビンボー舌と味覚オンチは一見似ているが、まったく別のものだ。味覚オンチは、ある種病気の可能性もあるが、ビンボー舌というのは、生来の才能云々もあるかもしれないが、単に幼少期からのグルメ体験が少ない、というか、ろくなものを食べてこなかったために舌が肥えてない状態、つまり、教養のない舌ということだろう。なにしろ、小学校の給食で、進駐軍のくれた飼料用脱脂粉乳を飲んでいた世代なのだ。だから、学習の機会さえあれば、ある程度までは金満舌、つまりグルメに出世する可能性があるとも言える。

 とはいえ、いくら可能性があっても、ピアノやヴァイオリン同様、成長期を過ぎてしまってから学習したのでは、覚えが悪く、効率が悪いということはあるかもしれない。たとえば、優れた素質の舌を持つ育ち盛りの子供なら、一流シェフの作った料理の味を一度食しただけで、生涯記憶してしまうかもしれないが、僕のような年代のものだと、一流のシェフの作った料理と、そうでない二流三流の料理との明らかな差に気付き、それを確かな記憶にするためには、何度も何度も高級一流レストランに通わなければならないだろう。

 それでも、翌日には、すっかりビンボー舌に戻ってしまうのだ。

 

……マカロニ・アンモナイト編集部より……

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2003年02月19日掲載


2003年02月19日掲載

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