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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




172 ビンボー舌の家庭内コック

 グルメは、はたして幸せか?

 というふうに書くと、あたかもグルメにほど遠いビンボー舌者のコンプレックスが、ビンボー舌こそ実は幸福であるという結論を引き出し、ビンボー舌の砦に籠もって自己満足に浸ろうとする、そんなシナリオを予想される向きがあるかもしれないが、まあ、当たらずとも遠からずと言える。

 とことん食材にこだわった−−

 というのがグルメ系レストラン、あるいはTVの食べ歩き番組に登場する高級料理店の常套句であるが、どっちみち掛けた費用は、食材の何倍何十倍もの料金で返ってくるのだから、値の張る食材を惜しげもなく使うのは当然であろう。

 玄人はそれでいい。
「男の料理」と称して、年に数回、腕によりをかけた料理を作るような人も、それでよい。

 だが、家庭のコックが日々作る料理は、そういうわけにはいかない。
 家庭のコックとは僕のことだが、食材にとことんこだわっていたら、懐が空っぽになってしまうばかりでなく、肥えすぎた舌を、ビンボー舌に戻すのが辛くなる。一瞬にせよ、都落ちの気分だ。そもそも、こだわりの食材など、そこらへんのスーパーで簡単に手に入るものではない。たかが朝夕食のためだけに、いちいちデパ地下や産地に出向いていたら、本業に支障が出るというものだ。

 僕がとことんこだわるのは、食材そのものより、値段のほうである。
 食材の良し悪しには、さほどこだわらない。冷蔵庫の中で、半分死にかかっているような食材でも、もったいないから使ってしまおうとするのが家庭のコックというものだ。
 もちろん、食材は安ければ安いほど良い。少々味が劣ろうが、賞味期限が切れかかっていようが、所詮ビンボー舌だから、値段の違いほどにはその差がわからない。閉店間際に半額になった生鮮食品など、最高の買い物である。
 もっとも、安いからと、中国産の野菜を使ってたら、残留農薬濃度が問題になったりするようなこともあるから、そこらへんは注意も必要だが、ビンボー舌にとっての食材は、あくまで安いが原則である。いかに低コストで、いかに美味い料理を作るか、そこに家庭内コックとしての腕の振るいどころがある。

 

……マカロニ・アンモナイト編集部より……

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2003年02月26日掲載


2003年02月26日掲載

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