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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




173 完成度の高い調理器具

 僕が愛用する調理器具は、なんといっても中華鍋である。
 中華鍋には、当然ながら中華お玉が付き添う。
 この両者は切っても切れない関係というのか、すこぶる相性が良い。
 中華鍋に対し、普通のステンレスのお玉だと、まるで硬式の野球ボールを、すりこぎのバットで打つような頼りなさがあるし、普通のホーローのフライパンに中華お玉では、逆にピンポン玉を金属バットでぶちのめすような過剰さがある。
 それが、中華鍋と中華お玉のセットにすると、見事にバランスがとれてしまうのである。もちろん偶然ではなく、そのように作られているわけだ。そのあまりの相性の良さに、さすが中国三千年だか四千年だかの歴史だなぁ〜などと感心したいところだが、中華鍋を使ってる最中は、火加減やら塩胡椒するのに忙しく、そういったことは頭からすっ飛んでいる。しかし、すっ飛んでいられるほど、完成度の高い調理器具ということも出来ようか。

 ただ、中華鍋には、大きな欠点がある。
 ご存じのように、中華鍋も中華お玉も、鉄製の上に巨漢ときているから、やたら重い。平均的な体格の日本女性が、決して片手で持てない重さではないと思うが、食材が鍋に乗っかると、どうだかわからない。仮になんとか持ち上がっても、前後に振ったりロールさせるのは無理だろう。両手で持てば出来なくもないだろうが、そうすると、中華お玉を持つ手が塞がってしまう。車のステアリングとシフトレバーのようなもので、中華お玉を同時に使ってこそ力を発揮するのが中華鍋だ、別々に使っていたのでは、料理がいちいち止まってしまい、しゃきっとキレの良い料理には仕上がらない。

 というわけで、中華鍋を買うということは、それを使った料理の当番が、男の君になってしまう可能性大ということでもある。それがいやなら、中華鍋は買わないほうが無難だ。


2003年03月05日掲載

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