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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




179 大雑把な母、几帳面な父

 父が家庭内コックを務めていた時期がある。
 父が定年退職後、次の仕事が決まらず、家でブラブラしていた頃で、僕がビールの味を知る6〜7年前のことだ。

 父の、料理が意外に上手いのに、僕は驚いた。
 どんなメニューの料理を作ってくれたのか、今となっては何一つ覚えていないが、母の大味且つ大雑把な料理しか食べて来なかった僕は、母には悪いが、このままずっと父が再就職せず、料理を作ってくれればいいのにと思ったほどである。
 当然、その希望は叶わなかった。

 父は几帳面な人で、暇さえあれば、趣味で微分積分などの数学の問題を解いているような人だった。いま生きていれば、おそらく四六時中パソコンでExcelをいじっているに違いない。その性格を反映してか、父の料理は計画的で、整合性あるきちんとしたものだったように思う。
 母の料理は、その正反対だった。

 料理もまた、その人の性格を色濃く反映するものだ。
 僕は少なくとも料理に関する限り、几帳面なほうではない。まして計画性からはかなり遠い。かといって大雑把でも大味でもない。大胆且つ繊細……と言ってみたいところだが、そんなかっこいいわけがない。アバウトだが、土壇場でなんとか辻褄を合わせてしまう作風といったところか。

 なんのことはない、僕の仕事に対する態度と同じではないか。


2003年04月16日掲載

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