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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




181 キャッチ&イート

 このところ連続して、食べることをテーマに書いているが、世の中よほど食に対する関心が高いと見えて、担当氏によると、いつもよりアンケートの返りが良いそうである。こんなグルメでも専業主婦でもなく、まして調理師でも板前でもない、ただ自分の空腹を満たすためにのみ、朝夕ありふれた料理を作っているだけの人間が書いたものでも、腹の虫が騒ぎ出すのであろうか、人々の目の色が違ってくるようだ。
 ならばということで、色気を出して、もうしばらく「食」について書いてみようと思う。

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 今はほとんどやらなくなったが、僕は以前よく魚釣りをした。
 僕の釣りは、今風のかっこいいスポーツ・フィッシングからはほど遠い、昔ながらの野暮ったい「おかず釣り」である。つまり、魚をひたすら食材として捉え、釣った以上は食べることを目的としている。魚も生き物だから、釣られればそれなりに不幸を感じるだろう。仏教国に生まれたせいか、僕も良心が痛まないわけではないから、しっかり食べることで、魚には成仏してもらうのだ。

 今はキャッチ&リリースという、釣った魚を持ち帰らずに、「また会おうぜ」とか言いながら再放流するカナダやヨーロッパスタイルの釣りが主流である。バスやトラウトといった魚を対象とした、いわゆるスポーツ・フィッシングと呼ばれる釣りだが、僕はそうした釣りにはどうしても偽善を感じてしまうので、食べられない、あるいは食べる気がしない魚は、外道として釣れてしまう以外には釣らないようにしてきた。釣りは魚と人間との知恵比べとか言われるが、痛い目に遭うのは、一方的に魚のほうである。「また会おうぜ」というのは人間のエゴであって、魚は暴漢に等しい釣り人なんかには、もう二度と会いたくないのだ。

 釣るんだったら食べる、これが僕の釣りである。


2003年05月07日掲載

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