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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




182 釣ったら、捌く

 釣るんだったら、食べる釣りをする以上、釣った魚は捌く必要がある。
 釣りの対象となる魚は、必ず尾頭付きで泳いでいる。もちろん、ウロコも骨もぐじょぐじょした内蔵も取り除かれてはいない。まして、切り身なんかで釣れてくることは絶対にない。

 当たり前のことだが、釣り魚はこれだから、調理することを嫌がる女の人は多い。包丁を入れたら魚がまだ生きていたなんてことがあると、卒倒する人さえいる。しかも、魚は瞼がなく、死んでも目を閉じないから怖いと思うのだろう、魚と目が合わないように視線を逸らして調理するから、誤って指を切ってしまったりする人もいる。また、スーパーで売っている魚なら大好物だが、釣った魚は気持ち悪くて絶対に口にしないという人もいる。釣ったばかりの魚のほうが新鮮で旨かろうと思うのだが、それはその人の文化の問題だから、旨い不味いを論争してもしょうがない。
 仮にそうした生理的な一切のことに平気で、調理するのが嫌ではなくとも、亭主の遊んだ後始末を「どうして私がやらなくてはならないの?」と不満に思う妻は多いはずだ。

 そこで、釣り人は台所に立ち、包丁を学ぶようになる。
 僕も、包丁の使い方の多くは、釣った魚を捌くことで覚えた。
 覚えたといっても、素人の域を出るものではないが、調理済みの魚よりは、いろいろとオマケの多い尾頭付きの魚を買うのに躊躇がないくらいの腕は身に付いたと思う。


2003年05月14日掲載

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