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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




186 電車に乗らずに…(2)

 今は、朝起きられないということはない。
 むしろ、早い時間に目が覚めてしまう。いわゆる、歳を取った証拠というやつだ。
 今なら朝の出勤も難なくこなせそうである。事実、週一度の専門学校への出勤の朝は、起床してから風呂に入り、更に弁当を作るほどの余裕だ。

 早起きだけは、ン十年目にしてやっとクリア出来るようになったが、相変わらず、電車に乗るほうの機会は滅多にない。
 が、車に乗ることは多い。
 専門学校へも車で通っている。
 別に電車に乗るのが嫌いというわけではない。どこへ行くのも車で移動するほうが、より好きなだけである。車の運転には適度の注意力が必要で、人まかせの電車に乗ってるよりは退屈しないからだ。渋滞にはまったら、Blues Harpを吹くなどして気を紛らわすことも出来る。そのために、周りは畑しかないような郊外に住んでいる。このあたりだと、都心のように、行く先々に駐車場があるかないかを心配することはない。

 昔読んだ、農村に住むある作家のエッセイに、次のような内容のくだりがあった。

 −−農村は村全員が顔見知りといってよく、道で出会えば、挨拶はもちろん、ひと言ふた言くらいは世間話を交わさなければならない。しかも、お互い徒歩だから、出会ってから別れるまでの時間が実に長い。社交が苦手な人には、キマリが悪い上に、けっこう負担な時間である。ところが、車の生活だと、道で顔見知りと出会っても、車の中から軽い会釈をするだけで済むし、あっという間にその場から遠ざかることが出来る。農村に住む自分にとって、他人との距離を保つ上で、車の普及ほどありがたいものはない−−

 僕は、なるほどと思った。


2003年06月11日掲載

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