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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




189 軒先の住人

 我が家の玄関のすぐ横に、二階のバルコニーを天井にしたガレージがあるのだが、5月の終わり頃、一つがいのツバメがやってきて、その天井近くの壁に巣を作り始め、またたく間に完成させてしまった。野生の動物は、何かと言い訳を考えてはサボりたがる人間と違って、みな勤勉だ。しかも、彼らが親に教わるわけでもなく、ツバメの巣以外の何物でもない巣を見事に作ってしまう不思議には、思わず感心して唸ってしまう。
 現代では、それが遺伝子のなせる技であることを、おそらく小学生でも知っている。が、知っているから、不思議でも何でもなくなるかというと、もちろんそんなことはない。知れば知るほど、そうした緻密なメカニズムにコントロールされた自然が、今ここに存在していることの奇跡に、ますます不思議を感じてしまうのである。

 さて、我が家では彼らのことをスワ子&スワ蔵と呼んで、なるべく彼らの繁殖の邪魔をしないようにはしているが、軒先を無料で貸した見返りとして、たまに写真くらい撮らせて欲しいと思っている。が、せいぜい三倍ズームのデジカメ程度では、どう撮っても、あの小さな姿は、画面のはるか彼方へと遠ざかってしまう。ヴィデオ・カメラでも取り付けて、定点観測が出来たら、けっこう面白いかもしれないとは思うものの、よく知られたツバメの繁殖、他にあまり使い道もなさそうなヴィデオ・カメラをわざわざ買うほど珍しいことでもないので、ここはまあ撮れる範囲で、というところに落ち着いた。


2003年07月09日掲載

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