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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




192 “ヒトコマ”写真家

 ところが、僕は数年前、ついにカメラマンとしてデビューした。
 デビュー作は、他ならぬ「週休六日のススメ」である。
 というと、本物のカメラマンに怒られるかもしれないが、この連載で、文章とセットとはいえ、僕は自分の撮った写真を作品として発表し、幾ばくかの原稿料をいただいている。ギャラが定期的に発生すれば、それはプロであり、いかにヘボであろうと、カメラマンと言えなくもないのである。

 と、強引にカメラマンの仲間入りしてしまったが、ただ、僕が昔のめり込んだ写真の技術が、いまになって生かされ、やっと日の目をみたわけではない。はっきり言って、昔カメラ小僧としてやっていたことはほとんど何の役にも立っていない。なぜなら、現在僕の保有する唯一といっていいカメラは、211万画素で三倍ズームのデジカメである。絞りもシャッター速度も、すべてカメラ任せといういたってずぼらなカメラなのだ。僕がカメラマンとして出来ることは、フレームを決め、シャッターを押すだけで、それ以外の小賢しいことはしたくても出来ない。

 だが、いまの僕には、そんなカメラで十分である。
 僕の写真は、おそらく、どこまでいってもマンガのヒトコマなのだ。
 マンガの絵は、必ずしも絵画のような美しいマチエールも高級な画材も必要ない。むしろ、邪魔なくらいだ。同じように、僕が撮る写真も、美術館に飾られるような階調の美しさや光沢は必要ない。もちろん、僕にも画家のように描き、カメラマンのように撮ってみたいという野心が芽生える時がなくもないが、それは僕の生き方とは微妙に異なるものだ。そっちへ走るべきではないというルールのようなものが、自分の中にある。一見雑なカメラで、雑に撮られた写真が、コマとして幾重にも重なって、一つの物語として全体を完成していく、僕の場合、写真もそういう表現になってくれればいいと思っている。


2003年07月30日掲載

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