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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




200 温泉は寂しい(2)

 僕はフィットネスクラブに週一、二回以上は通い、そこで入浴を済ませるため、自宅に築3年目の未だ真新しい浴室がありながら、滅多にバスタブに湯を張ることがない。そのせいか、つれあいも、ついシャワーだけで済ましてしまう。しかし、衛生的にはそれで十分かもしれないが、シャワーだけでは、汚れは落ちても、血行を良くするには至らないだろうし、おそらくリラクゼーション効果もないだろう。そこで、たまに二人でこうした大銭湯やスパに出かけたりするのであるが、問題は、二人がそれぞれ別々の時間を過ごさなければならなくなることである。

 こうした施設は裸湯、つまり生まれたままのすっぽんぽんになって入るところがほとんどだ。ということは、物心ついた歳以上の男女は、それぞれの性に従って、「男」「女」という文字が染め抜かれた暖簾をくぐらなければならない。それぞれの暖簾をくぐったら、中は一緒で男女ごちゃ混ぜだったという素敵な温泉もあるにはあるが、こういう施設には、その手の楽しさは絶対にない。あなたが男なら、再び暖簾をくぐるまで、素っ裸の男たちばかりがうようよしている場所で過ごさなければならないのである。隣り合った壁の向こうのガールフレンドに声を掛けたくても、浴室にいる限り、壁の向こうは世界で一番遠い場所なのだ。

 これでは、つまらないではないか。
 いや、別に混浴を欲しているわけではない。つれあいと、広くて開放的な浴場での一緒の時間を楽しもうと、わざわざコストを支払ってまで行ったのに、男女というカテゴリーに分断され、それぞれ別の場所で寂しく過ごさなければならないことが、とても理不尽でつまらないと思うのだ。


2003年11月12日掲載

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