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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




206 ヨーロッパからの賓客(4)

 もっとも、「国際的」とはおよそ無縁の生活をしているとはいえ、自分の描くマンガとなると話は別だ。どこでどう一人歩きし、どこの誰が読んでくれるかわかりゃしないのが、この世界の面白さである。出来れば、世界中の人々に読んでもらったほうが楽しい。というより、そういうことが実現できなければ、他の職業ならあり得たかもしれない「国際的」な生活を放棄してまで、マンガを描く甲斐がないではないか。僕のマンガを描く強いモチヴェーションの一つが、実はそこらへんにあるのだ。

 その特権とも言うべき可能性を拡げていくためには、何をどういう方法論で描けばよいか、逆に、どういうものをどのように描けば、僻地に埋もれ、世界への扉を閉ざしてしまうか、ひと言で言えば、普遍性の獲得ということに尽きると思うが、そのことについては、若い頃から誰よりも真剣に考えてきたつもりである。

 たとえば、マンガには点目やら額を覆う縦線のような、感情を簡便に表す素晴らしいお約束的表現が無数にあって、それはいわば「日本マンガ語」とも呼べる普遍性を獲得してきた。しかし、その普遍性は、あくまで日本及びその影響の強い文化圏にのみ有効であって、英語のようなグローバル性を持ち得ているとは言い難い。豊かな言語ではあるが、日本語と同様、世界の中では極めてローカルな言語でしかないのだ。

 まずは、その「日本マンガ語」を極力使わないこと、それが僕にとっての「国際的」へのとっかかりとなった。


2003年12月24日掲載

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