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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




214 絵が上手いマンガ家の苦悩(4)

「あー、原作付きですかぁ。僕は自分の妄想を描きたくてマンガ家やってますんで、原作付きのお仕事はお断りしてるんですが」

 それが僕のいつもの答えである。
 僕の考えた物語より、原作付きのほうがはるかに面白いかもしれない。というより、一般的な読者にとっては、その可能性のほうが高いだろう。原作付きのほうは読者を選ばないが、僕のマンガは結果的に読者を選んでしまっているからだ。しかし、自分が考え至ったテーマやモチーフでないと、体が拒否反応を起こしてしまって、ペンを持つことも出来なくなるくらい気持ちが萎えてしまうのだから、こればかりは如何ともしようがない。

 そう、わがままである。
 ある種のビョーキとも言える。
 野垂れ死んでも誰にも文句を言えない、それくらい自業自得な病である。
 ただ、このビョーキは感染力が極めて弱いが、全くないわけではない。巻き添えを食いたくなければ、近づかなければいい。誰も近づかなければ、人知れず勝手に野垂れ死ぬだけだ。「絵だけが欲しい」くらいの用なら、まだ巻き添え率は低いと言える。意外と、はた迷惑ではないのだ。ただ、野垂れ死に方面へ向かいつつも、結局他人は本人の希望するようには見てくれないものだなあーーつまりこの場合だと、僕の作品の本当の面白さはハナシのほうにあるのにーーとの嘆きがあるものだから、ついこういう愚痴っぽい書き物をしてしまうところが、はた迷惑といえば言えるかもしれない。

 もちろん、世の中にはまれに巻き添えを食ってみたいご奇特な方もいらっしゃるだろうから、そういう方は「福山さんの(絵だけではなく)すべてが欲しい」と今すぐ電話してみることだ。遅い原稿に、すぐに胃がキリキリ痛み始めるから、胃薬は各自用意しておいたほうが良いかもしれない。


2004年02月25日掲載

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