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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




220 悪夢を見る(2)

 銭湯へ行く夢では、まず小銭がなくて料金が払えないという苦境から始まる。しかし、そこは夢、次の瞬間にはもう素っ裸の自分がいて、やけに小さくて底の深い湯船を見つめている。湯船の大部分を黒い大きなボイラーが占領しているので、人が入るスペースは少ない。その少ないスペースに、既に親子と思われる大人一人と小学生くらいの子供二人の先客が入っている。自分一人が割って入るスペースくらいはありそうだが、敢えて割り込んで入るべきかどうか躊躇している。が、やはり次の瞬間には、自分も湯船に肩まで浸かっている。だが、湯がとてもぬるくて、太股から下のほうは、まるで水のように感じている。とても居心地が悪い。

 誰かがボイラーの点火の仕方を教えてくれているようである。
 夢の中なので、そういう声や動作のいちいちが曖昧である。
 とにかくボイラーに火が入り、ゴットンゴットンと大きく振動しながら、湯を温めている。下半身の湯が少しずつ暖かくなってきて、やや安堵する自分がいる。
 だが、いざ帰る段になり、自分の衣服が無いことに気づく。
 タオルを腰に巻いて帰るしかないのかと絶望的な気分になるが、今度はそのタオルが見当たらない。再び、浴室の中を探したりしているうちに、目が覚める。

 こうした夢を詳細に書いてしまうと、容易に夢判断=精神分析されかねないので、いささか躊躇を感じないわけではないが、元々そういう不安に満ちた悪夢的傾向の強い作品を好んで描いているので、一部の熱心な読者にとって、僕の気質は、もうとっくにバレバレに違いない。


2004年04月14日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部