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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




221 悪夢を見る(3)

 夢のような世界を描いた作品ならば世界中に無数にあると思うが、見た夢そのものを映像に置き換えた作品となると、いったいどれくらいあるのだろう?
 僕が思い出せるのは、映画では黒澤明監督の「夢」がある。
 マンガだと、つげ義春氏の「ねじ式」が有名であるが、今の若い人は、もしかしたら誰も読んでないかもしれない。

 僕自身は、未だ夢そのものをマンガに描いたことが一度もない。
 僕の描く悪夢は、いつも覚醒した状態で考え出したものだ。
 悪夢だから、ハナシが悪いほう悪いほうへ動いていく。まるで蜘蛛の巣に掛かったように、もがけばもがくほど相手の術中に嵌っていって絶体絶命の状態になっていく。そうした手法で描かれた作品の典型は、サスペンスの巨匠ヒチコック監督の映画であり、僕もその影響を多分に受けている。

 先日、BSハイヴィジョンで放映された、昔懐かしい「ヒッチコック劇場」のある一編を観た。やはり悪夢のようなハナシである。社会的地位もあり、理性にも良心にも富んだ善良な主人公が、悪党の罠に嵌っていくにしたがって、どんどん悪い人になっていく。最後こそハッピーエンドが用意されているものの、そのほとんどの時間帯は、気分の悪い話で終始する。そんな気分の悪い話に、なぜ人は惹かれるのだろう? いや、こんなイヤな話はまっぴらごめん、金を貰っても見たくないという人は多いだろう。しかし、好きな人も確実にいるのである。



※「夢」(1990年/ワーナー・ブラザース) 「ねじ式」(小学館/小学館文庫)


2004年04月21日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部