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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




227 軒先の住人 リターンズ(1)

 ツバメが帰ってきた。
 昨年、ツバメの夫婦が我が家の軒下に巣を構え、雛の一羽は猫に遊ばれて失ってしまったものの、他は無事子育てを終え北の空へ飛び立って行ったが、巣をそのままにしていたら、またツバメが戻ってきた。昨年と同じツバメの夫婦かどうか確かめようもないが、昨年のツバメに較べると、いくらか行儀が悪いところがあるので、もしかしたら別のツバメかもしれない。どう行儀が悪いかというと、よく糞を落とすのである。

 昨年のツバメ夫婦は、まさか軒下を借りている遠慮からではなかろうが、巣にいる間はほとんど糞を落とさなかった。だが、今年の夫婦はそうではない。もちろん、雛が孵ってからは、当分飛べない雛たちによって巣の下は糞まみれになってしまうものだが、まだ雛は孵っていない。いま必死に卵を暖めている最中である。なのに、こちらが用意した段ボールの簡易トイレは、それなりの量の糞が積もっている。

 ただ、少々行儀は悪いかもしれないが、昨年の夫婦よりは、若干フレンドリーな印象はある。というのも、昨年のツバメは、僕が用があって巣の近くにいる間、たとえ卵を暖めている最中でも、決して巣に戻ることがなかったが、今年のツバメは「人間はそこにいてくれるなよ」「早く家の中に入るなり出かけるなり、どっか行ってくれよ」「あたいは巣に戻りたいんだよ〜、卵を暖めなきゃいけないんだよ〜」というふうにも聞こえる鳴き声を盛んに発しながら、何度もUターンを繰り返すのだが、ついに根負けしたのか、巣に戻って卵を暖め始めてしまった。
 それからというもの、僕が巣と目と鼻の先で、トンテンカントン釘打ちなどをしても、ツバメは巣を離れることなく、僕のほうを見ながらじっと卵を暖めている。


2004年06月02日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部