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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




233 株で遊ぶ(3)

「売り注文」と「買い注文」とを逆に出し、それが約定してしまうとどういうことが起こるか、誰にでも容易に想像がつくことだが、敢えて説明しよう。

 たとえば、買った株が運良く上昇し、買値を上回って含み益が生じたとする。
 もしそのまま上がり続けると思えばホールドだが、もうこれ以上上昇しても上値はたかがしれていると判断した場合は、一旦売って利益を確定しようとする。その際、なるべく一円でも高く売りたいと思うのが人情である。その一円でも高くという気持ちで指し値をタイプし、「売り注文」のつもりで「買い注文」のボタンをクリックしてしまったらどうなるか?

 答:血の気が引く。

 そう、正解である。
 大慌てで取り消しボタンを押したところで、時既に遅し、注文照会欄の「注文中」だった表示は「すべて約定しました」という表示に変わってしまっている。要するに、自分が一円でも高く売りたいと思ったその高値をわざわざ掴んでしまったというわけだ。

 そのミスを冒したのは、5月7日という連休の谷間の日で、その日はうっかり高値で買った株が、僕の「もう上値はたかがしれている」との予想を大きくくつがえし、更に上昇を続け、なんと13%もの含み益を出したのである。当然ながら、売るつもりで売り損なったほうの株も同じだけの利幅を獲得したことになる。怪我の功名とはこのことである。その日の僕は、思いがけない幸運に上機嫌であった。

 だが、世の中はそんなに甘くはない。


2004年07月21日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部