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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




235 株で遊ぶ(5)

 株の話が続く。

 その昔、江戸の町で火事が出ると、火消したちは延焼を防ぐために出火地域の延長線上にある未だ燃えていない家を壊したという。消防装置が未発達な時代の火消したちは、その名とは裏腹に、火を消すことよりも延焼を防ぐために家を壊すのが仕事だったようだ。昔の時代劇映画などを観ると、火消しが番傘のような形をした例のまといを威勢良く屋根で振ったりしているが、あれはこれから壊す家の目標を知らせているのだそうだ。密集した大都市に起こる度々の大火の経験が、そうしたリスク管理の方法を生み出したのだろう。

 含み損の出た株を売るのは、そうした火消しの論理と同じである。
 つまり、損が小さいうちに売って、これ以上の被害の拡大をストップさせてしまおうというわけだ。これを「損切り」というふうに呼んでいるが、株式売買に於いて、この損切りが出来ない投資家は絶対に勝てないと言われている。いわば原則の中の原則、原則の親分みたいなものである。日本では明治の中頃から会社の株が売り買いされるようになったという。以来百数十年、一夜にして財を成した者もいるかわりに、奈落の底へ沈んでいった者の数も半端ではあるまい。株には格言が驚くほど多いが、そのすべては経験則によるものであろう。損切りで言えば、「見切り千両、損切り万両」などが代表的なものだ。


2004年08月04日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部