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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




239 ネタの袋小路(1)

 我が家の軒下のツバメだが、6月半ば、親子共々全員無事に巣立っていった。
 と思ったら、一週間も経たぬうちに戻ってきて、更に二回転目の子作り子育てを始めたではないか。なんという旺盛な繁殖力であろうか。生きる、繁殖するということに、何の迷いも疑念も感じない生き物である。人間でもツバメのようなご夫婦が少なくないが、中には悪化する治安や地球温暖化の問題、あるいはいつかはやってくるエネルギー危機などの悲観材料を前に、子を産むべきか迷ってしまう人々も多い。とにかく、ツバメにはそういう迷いは一切ない。いや、少なくとも僕にはそう見える。

 その二回転目のツバメ四羽も無事育ち、8月初旬に巣立っていった。
 と思ったら、なんと、夜になると子供たちの全員が巣に戻っている。確かに産毛がまだ残っているし尾羽も短いから、まだ生まれ育った我が家を離れ難いのかもしれないが、昨年や今年一回転目では見られなかった現象である。ほとんど親鳥と変わらない大きさの四羽が、人間の生活で言えばわずか半畳の部屋に折り重なるような状態で巣に止まっている。仲がよいといえば実に仲がよい。

 さてはツバメもツバメなりに進化し、人間並みに大人になることを先延ばしにするモラトリアム症候群が発生したのであろうか? だとすると、世紀の大発見である。たぶん。
 案の定、ツバメたちの朝出勤・夜帰宅の日課は、来る日も来る日も続いた。こいつらは巣離れもしなければ、海も渡らず軒下に定住するツバメの新種に違いないとの確信を得て、いよいよ大発見発表の日が近いと思った日の翌日、夜になっても巣は空のままだった。ツバメたちが初めて空を飛んだ日から、ほぼ一週間後のことだった。


2004年09月08日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部