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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




248 僕が欲しかったもの 〜新車購入への道(6)

 僕が欲しかったのは、“高級セダン”ではなくて、多少乗り心地や利便性は犠牲にしても、たとえばカブリオレのような、乗っている時間そのものを楽しむ車だったはずではないのか?

 新しいGOLFが納車されるまでの短い期間、僕は1リッターのマーチに乗っていた。義母が愛用していた車だったが、その義母が今年の初夏に亡くなり、乗り手を失っていた。先代マーチの末期モデルで、何ヶ月も雨ざらしのままだった車体は縞模様の汚れや沢山の落ち葉を身にまとっていたが、ドアを開けると、まだ新車の臭いがぷんぷん残っている。パワーウィンドウのローラーがガラスに張り付いてしまっているのか、しばらくうんともすんとも動かなくなっていた以外は、何も問題がない。よく走るし、よく曲がるし、よく止まる。いざ乗ってみると、これがけっこう楽しいのである。これでもう少しエンジンにパワーがあればとは思うものの、この目一杯アクセルを踏み込む感覚は高級セダンでは味わえない。味わおうと思ったら、軽々と時速200kmを超え、一つしかない免許証を失うことになるだからだ。そう思えば、逆にこの非力さも楽しくなる。これくらいのサイズの車は、時速200kmは出せないかもしれないが、法定速度プラスアルファあたりの速度をブイブイ楽しむことが出来るのである。近所を走るだけなら、そのほうが面白い。

 となると、僕が普段使う車としては、GOLFの性能はいかにも過剰である。


2004年11月10日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部