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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




257 タダのカラクリ(3)

 翌日、営業マンは二人組になってやってきた。
 一人は前日の人の良さそうな彼で、もう一人は営業経験豊富そうな雰囲気をプンプン臭わせている人物で、案の定こちらの彼がセールスのすべてを行うことになった。さあ、油断は禁物である。

 ソーラー温水器自体は、日本電気硝子製の真空ソーラー温水器サンファミリーというもので、病院など主に公共施設に設置され実績を上げてきた製品のようだ。夏は沸点近く、冬でも50〜60度にはなるという。価格は653,000円。この製品が本当に設置されるとすれば、製品としては問題はなさそうである。

 しかし、我が家が一年間に使うガス代などたかが知れている。僕はほとんどフィットネスクラブで入浴を済ますし、つれあいはほとんどシャワーである。まだ真新しい湯船があるのだが、湯を張ることは年に何度もない。高価な湯船からするともったいない話であるが、その分ガス代のほうは安く済んでいる。今年の7、8、9月など、すべて2,060円だった。冬でもせいぜいその倍くらいだ。どんなに太陽熱の恩恵を受けたところで、元が元なだけに節約できる金額は微々たるものに過ぎず、わざわざ設置するほどのメリットはなさそうである。確かに化石エネルギーを使わない分、地球環境には優しいかもしれない。しかし、僕らは骨の髄まで庶民である。本当にタダならともかく、これから「実は……」と言い渡されるであろう何らかのコストを負うことで初めてタダのお湯が手に入るのだとすれば、そんな微々たる節約では到底元が取れそうにない。となると、とりあえず地球よりは自分の財布のほうに優しくするのが庶民である。

「確かに、ガス代の節約は大したことはありませんが」
 そう言って、油断ならないほうの営業マンが、美味しい話第二弾を始めた。


2005年01月19日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部