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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




261 タダのカラクリ(7)

 かくして、まんまとセールスに乗ってしまったわけだが、製品自体には嘘偽りはなさそうである。あとは最終的な価格交渉だが、それも当然ながら値切れるところまで値切ったつもりだ。それに、このセールスマンを送ってきた代理店が実在するもので、本当にメーカー指定の正規の代理店かどうかだが、生憎この日は日曜日だったため、会社はどこも休業で確認が取れない。しかし、契約はいますぐ行わなければダメだという。指定エリアの関係で、我が家とは正反対に位置する遙か遠くの町から出張してきているため、人件費のコスト上、また明日来るというわけにはいかないのだという。そう言われると、また怪しくなってきて、またまた疑う材料が持ち上がるのだが、ここはとりあえず明日日本電気硝子に確認の電話を入れることにして、契約書に判を押すことにしたのだった。本当に怪しかったらクーリングオフ制度を利用すれば良いのである。

 翌日、直接メーカーの担当氏に電話をしたら、昨日のセールスマンを送り込んだ代理店は実在し、メーカーからも高い信任を得ていることがわかった。セールスマンの言によると、これまで随分セールスに回ってきたが、僕のように疑い深く、色々と確証を求めてきた顧客は初めてだという。ダントツのNo.1らしい。もっとも、僕自身は特に用心深いほうでも、疑い深いほうでもない。どちらかというと、凡ミスの多い迂闊な人間である。車などセールスに乗せられ易く即断即決で買ってしまう。これと決めるのに5分と掛からない。結婚も二度したが、二度とも実質的には何度も会わぬうちに決めている。だから失敗するのだと言われそうだが、疑ったら何も決められない。

 まあ、ここまで疑い深げにやるというのも、半分以上は取材である。
 世の中のしくみを卑近なところから知りたいという、マンガ家としての好奇心とでもいうようなものだ。お陰で、手順良く仕組まれたセールスを受け、こちらも遠慮なく突っ込みを入れるという楽しい時間を過ごすことが出来た。問題は、当の温水器がきちんと機能し、役に立つものなのかどうかである。


2005年02月16日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部