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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




266 有名人(4)

 東京に住んでいると、有名人を見掛けることは決して珍しいことではない。住む場所によっては、お隣さんだという可能性だってある。といっても、僕が住んでいるのは周囲を畑で囲まれたような田舎であり、町内に長嶋茂雄氏が住んでいるというようなことはないし、これから先もないだろう。そんな場所だから、地元で普段着の有名人に遭遇することなどまずない。遭遇するのは大抵都心部に出掛けた時である。比較的多く見掛けるのはホテルのロビーのカフェなどだが、これは人がほぼ静止した状態で居るため、こちらも気が付きやすいということがあるかもしれない。実際はもっと大勢の有名人とすれ違っているのに、僕が気が付かないだけということは大いに有り得る。

 東京では比較的カジュアルな有名人だが、僕は高校を卒業するまで九州の片田舎に生まれ育ったので、自分の生活圏の中で有名人を偶然見掛けることなど皆無であった。もちろん、歌謡ショーや野球場などへ足を運べば、正真正銘本物の有名人が目の前で歌を歌ったり、白球を追いかけたりする姿を見ることになるのだが、それはあくまで彼らにとっての営業の姿である。有名人を街で偶然見掛けたというような意味からすると、フィルターが幾重にも掛かっている。どんなに近くの良い席で観ても、いわばTVを超リアルな三次元フルカラーで見ているような感覚がある。要するに、昔の田舎の子供にとって有名人とは、雑誌のグラビアやブラウン管の中だけに存在している人々であり、現実に僕らと同じ空気を吸って生きている人々という実感をどうしても持てなかったのである。有名人とは、いわゆる二次元の存在であった。

 有名人に遭遇することはなくても、後の有名人と一緒にご飯を食べたり話したり、同じ青春の時間を過ごしていたという偶然もある。たとえば、少女漫画の重鎮である萩尾望都さんとは高校生だった頃を含む数年間を、大学時代に後輩だったアニメ監督の押井守さんには、デビューして何作目かになるマンガのベタ塗りを手伝ってもらったことがある。
 

今週の福山さんが動クンです!



2005年03月23日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部