* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number  


写真
---> 拡大表示

 



 



 

274 妄想と現実の距離(4)

 15歳でやったことを、今度は大学1年生の春休みにやったら、マンガ家としてデビューすることになった。簡単であった。デビューしたからには、評価されること、売れて金がざくざく入ってくるようになることなどが次に見る夢……というよりノルマとなったが、それらはそう簡単ではなかった。とりわけ、お金持ちになることは至難であったし、未だに果たせていない。おそらく、死ぬまで無理なような気がする。

 しかし、描いてみたいと思っていた雑誌からは、大抵声が掛かってきたので、そちらの夢はもはや見る必要もないくらい果たしてしまった。僕は一度でも作品が載れば満足してしまうのである。根が飽きっぽいのであろう。だから、マンガを描くことにも飽きが来る。隣に青い芝生があると、ついそちらに目が向いてしまう。しかし、マンガをやめては生活が成り立たないので、マンガに基盤を置きつつ、他のメディアと繋がれないかということをいつも考える。たとえば、僕ならば、こんな映画を作ってみようと思うのだが、誰か映画にしてくれない? と思って描いたのが「オオカミが出てきた日」であり、自分の作った話のミュージカルを一度でも良いから観てみたいなと思って描いたのが「マドモアゼル・モーツァルト」である。同じように、アニメーションも意識してきたが、思いがけず、最近アニメ制作会社の4℃さんから、お声を掛けていただいた。更に、海外でも読まれる自分の作品という妄想を描いてきた僕は、作品の普遍性ということも強く意識してきた。

 あと、僕の夢というか妄想の中で、まだ現実化していないことはいくつもあるが、要するに僕の人生は妄想を現実化することで成り立ってきたのである。妄想は儚い妄想のままで終わる場合もあるが、僕の場合は、いつかは現実化することのほうが多い。今度のサン・マロへの招待旅行もそうだ。海外へ招待されて行ってみたい、そういう立場の人間になれたら楽しいだろうなという妄想を抱き続けてきた結果、有り難いことに、その夢をボワレさんが実現してくださった。果報は寝て待つのが僕のスタイルだが、寝る前にやっておかねばならないことはたくさんある。


2005年05月25日掲載

<--Back     Next-->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部