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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




276 サン・マロへの旅(2)

 旅行中もしくは、帰国直後に締切がやってくる原稿をアップしてからでないと、フランスに行くことが出来ない。そう思うとプレッシャーのためか、逆に思考が停止し、浮かぶべきアイディアも沈んで溺れてしまうという傾向が僕にはある。ただし、とことんぎりぎりの最後には必ず浮上してくるというのも僕の特徴である。
 結局、今回もまたその轍を踏んでしまい、徹夜になった挙げ句、家を出る直前まで原稿を描き続け、それをアップするや脱兎の如く駅へ駆け出すという離れ業を演じることになった。

 今回、主催者(the “Etonnants Voyageurs” international book festival)から提供された航空券は、e-ticketという初めて体験するシロモノだった。どういうものかというと、インターネットで予約購入すると予約内容を記したものがe-mailの形で送られてくるのである。それを利用者はプリンタで印刷し、空港カウンターへ行き、パスポートと一緒に提出すれば、確認の上搭乗券に交換してくれるという仕組みである。つまり、現物の航空券だと忘れたり盗まれるなどの心配があるが、e-mailをプリントしたもの自体には何の価値もないから、盗まれても他人に使われることはないし、搭乗資格を失うこともない。プリント自体を無くす心配のある人は、何枚もプリントを用意して、それぞれ別々の鞄に保管しておけば良いのである。要するに、ホテルの予約と同じだと思えばよい。違うのは、料金先払いという点。最初はこんなものでパリへ行けるのか、空港へ行きプリントを見せて「何ですかこれは?」と鼻でせせら笑われたらどうしようなどと想像し、いささか心許ない気がしたが、少し考えれば実に合理的であることが分かる。このe-ticket、安全で便利だし、ここで僕が説明している間にも、確実に普及していくに違いない。

 そうして搭乗した全日空206便は、こともなげに地上を離れ、一路花のパリへ向かった。


2005年06月15日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部