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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




277 サン・マロへの旅(3)

 海外へ行くには、徹夜明けに限る。
 成田からパリまでは、11時間半近い時間を要する。その長い時間を、あの閉塞空間で快適に過ごすのは容易ではない。その苦痛な時間を少しでも短くしたいと思えば、飛行時間の大半を眠って過ごすのが一番である。図らずも僕は徹夜して36時間ほど寝ていないため、いつでも眠れる状態にあった。しかも、最初に出る飲み物にはビールを指定し、それを更におかわりしたので、もう眠る準備は完璧である。仮に8時間眠ることが出来れば、あと3時間半くらいを起きているだけでパリに着くのである。3時間半といえば、国内旅行の感覚だ。しかも、近頃の旅客機には各席にTVモニターがついている。どの映画を観るかについても大きく選択肢が増え、仮に目が冴えて眠れなくなっても、退屈な時間を消費するためのアイテムは整っている。

 ただし、ご存じの通り、エコノミークラスはかなり寝心地が悪い。同じ姿勢を長く続けることがはなはだ困難なため、出される食事に全部手を付けることになる、つまり、たびたび目が覚めるのである。目が覚めると何故か食事が出てくるので、寝ては起き、起きては食べの完全ブロイラー状態に陥ってしまうのであるが、一方ではエコノミークラス症候群とも闘わねばならず、地球は狭くなったとはいえ、やはり海外へ行くのはなかなか辛抱の要ることであるなあと思うのであった。

 さて、初めてというe-ticketの不安は解消したし、次の不安は空港でお迎えの人に無事会えるかということだ。そう、カステルマン社の計らいで、僕らには通訳の人が付き添ってくれることになっている。とはいえ、こういうのがフランス式なのかは知らないが、パリに無事着いたところで泊まるホテルは知らされてはいないのである。もしお迎えの人に会えなかったら、僕らは自力でホテルを探し、翌日自力でサン・マロへ行くしかない。しかし、僕もつれあいもフランス語はおろか、英語の片言すら喋れないのであった。


2005年06月22日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部