* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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294 サン・マロへの旅(20)

 まだ少年のようにも見える背の高い男性と、これまた若くてキュートな写真撮影担当の女性の二人。雑誌は、日本のものも含むアニメやコミックなどのサブカルチャー専門誌で、インタヴューもそれに沿ったものに終始した。

 そのインタヴューが意外に長引き、結局ルーヴル美術館を見物することも難しくなり、今回は観光も買い物もすべて諦め、つれあいの上司に頼まれたというお土産の貴腐ワインを探すことにした。どこか貴腐ワインを売っている店はないかとカメラマンの女性に尋ねると、マドレーヌにある紅茶で有名なフォーションならあるのではないかと教えてくれたので、早速映画に良く出てくるモンマルトルの丘に繋がる手摺りのある長い階段を下り、タクシーを捕まえ、その店へ向かった。

 貴腐ワインは簡単に手に入った。
 値段も日本円にして3,000円くらいと意外に安い。
 あとは一旦ホテルに戻り、荷物をまとめてドゴール空港へ向かうだけとなったが、その前に小腹が空いたので、食事をしようということになった。が、しかし、午後3時過ぎという中途半端な時間だったために、カフェくらいしか開いていない。ちゃんとした食事が出来るレストランは、5時を過ぎないと営業しないらしい。そういえばフランス人は、昼食の時間帯も店を閉じるという。昼食のための時間は、客のためにあるのではなく、自分たちが食事をするためにあるという考え方のようだ。日本人からすると、それでやっていけるのかと心配になるが、フランス人は自分の生活を犠牲にしてまで、金を稼ぐことに何の意味があるとでも考えるらしい。そして、その考え方は実は僕のそれに近い。このエッセイのタイトルが「週休六日のススメ」という所以である。


 そういうわけで、僕らはカフェに入り、軽くビールとサンドウィッチの食事をとる。僕の足元には、何故か大きくて黒いムク犬が雑巾のように横たわっているし、階下のトイレへ入ったら、便座が無かったりして、パリはなかなか楽しいところである。

 さて、こうして、このあと無事日本へ戻り、サン・マロへの旅は終わったわけだが、滞在中に食べたものや、トークショーやインタヴューなどで僕が話したことなど、まだまだ書き足りないことがたくさんある。なので、旅はもう少々続くことになる。


2005年10月26日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部