* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number


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303 セルマーのアルト・サックス(1)

 仏Selmer製のアルト・サックスを買った。
 先月からMINIだSelmerだとまるで物欲大魔王のようだが、たまにあることをこうして集中的に書いているからそう見えるだけで、実際の僕はどちらかというと物欲の少ないほうの人間である。以前にも書いたと思うが、コレクター的資質はゼロに近い。アルトを買ったのも、単純に吹いてみたかったからである。もっとも、Selmerのあの青地に「S」の字を象ったロゴが欲しかったことも事実である。いわゆるブランド志向というものかもしれないが、音楽好き楽器好きには、絶対そこを避けては通れないブランドというものがある。ギターならばGibson、Fender、Martinといったところ、サックスならば、何を置いてもSelmerであろう。そのSelmerが昔から欲しくて買ってみた。

 しかし、どうしてアルトなのか。
 一般にジャズ・サックスではテナーの人気が高い。アルトはどちらかといえばマイナーな楽器である。チャーリー・パーカーを始め、ジャッキー・マクリーン、アート・ペッパー、渡辺貞夫氏など、素晴らしいアルト奏者は枚挙にいとまはないが、Jazzファンにとっての本命は、やはりテナーだろう。
 ロカビリーやR&Bに至っては、更にマイナーになる。
 声楽ではテノールは男声、アルトは女声だから、たとえばロカビリーのような悪ガキ不良っぽさが売りの音楽でソロを取るには、野太い男声としてのテナーでなくてはならないのだろう。ジェームス・ブラウンが全盛期だった頃のR&Bにしても然りである。それらが男の求愛を示す音楽だとすれば、アンサンブルとしてならともかく、ソロを女声のアルトでやったんでは、おすぎとピーコのそれになってしまうのかもしれない。

 だが、僕はアルトを買った。
 別にカムアウトしようというわけではない。


2006年01月05日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部