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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




310 初恋(4)

 そうした虚しい虚しい中学時代を経て、高校へ進学することになるのだが、なんということか、彼女がまた同じ高校の同級生になったのである。ただし、クラスは違った。

 僕は喜んだ。
 また潤いのある学園生活が始まるのである。

 だが、人は日々成長する生き物であることに僕はまだ気づいていなかった。特に十代の若いうちは、日めくりカレンダーのように移り気だったりするものだ。僕は、初恋の彼女がいつもそばにいる安心感からか、中学時代と打って変わって、やたら近くの女生徒が気になるようになった。次から次に好きになるのである。遠く文通相手に対してもそうだし、それもけっこう深く恋してしまうのだ。
 そんな中でも、やっぱり初恋の彼女は別格であり、二人で福岡市まで特急電車で遊びに行ったり、彼女の家にお邪魔しては彼女の家族と一緒にコタツでミカンを食ったり、誕生日にはプレゼントを贈ったり贈られたり、修学旅行の列車の中では、車両を何両も渡り歩いて彼女とのボックス席を構えに行ったりしたものであるが、それでもあちこち他の女生徒も好きになってしまうのは、言ってみれば、浮気というやつであろうか。もっとも、当時は今のような性の解放はまったくといっていいほど進んではいないから、あくまで純愛プラトニックの世界であることを断っておく。

 そうして、初恋の彼女のことをいつも大事な大事なご本尊として胸に奉りつつ、浮気がどんどん激しくなっていくのであるが、東京へ出て大学に入り、その浮気が高じて、ついに初恋の彼女ではない女性と結婚してしまうことになる。初恋の人とは結ばれないとよく言われるが、一方的に僕のほうの行動結果によるものなので、この言い伝えはこの場合にはあまり有効ではなさそうだ。


(このネタ、続きます)


2006年02月22日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部