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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




326 離れを建てる(12)

 とはいえ、囲炉裏だけでは到底家全体の暖房は満たせない。
 そこで、床暖房の導入を検討することになった。
 おや? ローコストの家を建てるはずではなかったのか?
 その通りなのだが、あれこれ検討しているうちに、せっかくだから良い建材を使った納得のいく家を建てて、いずれはこちらに住もうかという発想に変わってきたのだ。

 僕の考える良い建材とは、いずれ土に還る天然素材のことである。たとえば、木の部分はすべて無垢材、合成樹脂のクロスではなく、珪藻土の塗り壁といった具合である。今住んでいる家も決して悪くはないし、十分気に入っているのだが、建材に関してはやはりいただけない。フローリングは突き板合板だが、それ以外の一見木の素材に見えるものは、階段の手摺りを除いてすべて合成チップにプリントした合成樹脂を貼ったものだし、和室の壁以外はすべて合成樹脂のクロス張りである。これで壁がサイディングだったら、いかにも化学工業製品で固めたような家になってしまうところだが、幸い、モルタル+煉瓦タイルを使ってあり、外観は手塗りならではの味とぬくもりのある仕上がりになっている。

 そこで、僕らは……というより、ほとんど僕の独断なのだが、床や天井などの木の部分は無垢のパイン材を、壁は珪藻土、外壁にはシラスを原料とした“そとん壁”という建材をインターネットで探し出し、それで仕上げてもらうことに決めた。もっとも、土間や台所の天井などは、今のところ予算の関係もあって合成樹脂のクロス張りである。トイレや洗面所、あるいはロフトにあるドアや収納庫の引き戸の素材については訊きそびれた。

 そう、天然素材を多く使えばコストが大幅に高くなるのである。
 実際、工務店に設計見積もりを出してもらったら、銀行からの借入予定額のほぼ1.5倍もの数字に膨らんでしまった。悩むところだが、10年20年先を考えれば、さほど高い金額ではない。10年20年先に自分がまだこの世にいられたとして、額にして数百万円、ここを惜しんでプリント合板と合成樹脂系クロスだらけの不本意な家にしてもしょうがないという思いが強く、契約書にサインをすることになった。それから約2ヶ月近く経った今日、小雨の中を軽トラックがやってきて、やっと土台工事が始まった。



※「離れを建てる」を第1回から読みたい方は、こちら


2006年06月28日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部