写真
---> 拡大表示



* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




329 離れを建てる(14)

 見せ柱とは、建物の構造には何の関係もない、まさに見栄えをよくするためだけのオシャレ柱である。工務店主は「こんなのもあるんですよ」と発泡ウレタン製で出来たものを見せてくれた。いかにも風化した古木をイメージした造りだが、手に持つと滅茶苦茶軽い。店舗などの装飾に使うのだろう。さすがにそうした見せ柱ならぬニセ柱を使う気にはならないが、僕らも梁のようなアクセントが欲しい気がして、一階の天井部分に本物の木で見せ梁を張ってもらうことにした。

 2×4といっても、コンクリートによる基礎工事は在来のものとほとんど変わらない。違うのは、そのあとの行程だ。日本式在来工法とは思想も方法論も全く違うといって過言ではない。在来工法だと、柱を軸とした構造なので、予め別の場所で組み立てるべき柱を設計図に合わせて入念に裁断したり、複雑なほぞ穴を開けたりしておかなければならない。今でこそほぞ組み用の手間の掛かる加工は、ほとんど機械に任せるようになったようだが、ちょっと前までは職人の手になるものだった。まさに、技と伝統がついこの間まで受け継がれていたわけだが、何より正確且つ均質な加工ができる工作機械が登場してからは、ノミや金槌の出る幕はがくんと減りつつある。まして、即戦力が求められる時代である、在来工法であれ何であれ、長年の修行を積まずとも、家が建てられるようにはなってきているようだ。

 ともあれ、在来工法ではそれらの部品がすべて完成したところで建築現場に運び、大人数で一気に組み立てるのである。建売住宅のような普通の家なら、朝に始まって夕方にはもう屋根が載っている。とにかく、在来工法だと、何もなかったところに、家の形をしたものがあっという間に建ってしまうのである。



※「離れを建てる」を第1回から読みたい方は、こちら


2006年07月19日掲載

<--Back     Next-->



Copyright :
マカロニ・アンモナイト編集部