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* 週刊フォトエッセイ*

週休六日のススメ

  文・写真/福山庸治 --->Back Number 




331 離れを建てる(16)

 離れには屋根が載り、オークリッジというアメリカ産の屋根材が貼られ、俄然家らしくなった。そこで、上棟式をやることになった。昔、上棟式といえば、載ったばかりの屋根の上から、集まったご近所さんに餅を投げて配ったりしたものだが、そういう風景はこの数十年来お目に掛かったことがない。僕らが用意したのは、出前の寿司と冷やしたビールにおつまみ、それに手土産用の折り詰め赤飯と清酒4合瓶といった感じで、餅を投げるようなものに較べたら実に簡素なものである。今どきは建売住宅が主で、上棟式もあまりやらなくなっているようだが、僕らは現場のすぐ隣に住んでいて、直接注文することも多いだろうから、顔合わせも兼ねて一も二もなく行うことに決めた。

 式そのものは、建物の四隅にある土台柱に、それぞれ順繰りに御神酒を注ぎ、その上に米と清めの塩を供えて黙礼するという簡単なものだ。あとは、施主の挨拶に始まり、まずは先ほどの御神酒で乾杯をして酒を酌み交わすという、どこででも見掛けるいつものパターンである。違っているのは、宴会の場所が、工事現場そのものであること、それに、参加者のほぼ全員が車でやってきているため、帰りの運転のこともあって酒が全然進まないということくらいだろうか。いかにも酒が似合いそうな面々なだけに、酒を前にどこか我慢大会のような雰囲気があり、その意味ではちょっと変わった宴であったかもしれない。

 そういえば、上棟式には付きものの、屋根のてっぺんに立てるお飾りは工務店が用意してくれた。このお飾り、式が終わった後は屋根裏などに収まっていたりするのだが、生憎と我が離れには屋根裏がないので、行き場が無くて適当に処分されるのだろう。こうした飾り、普段滅多に見ることはないので、「こういうのも、どこかで売ってるんですよね?」と素朴な疑問を工務店社長にぶつけたら、社長はこともなげに「雑貨屋さんで売ってますよ」と答えた。



※「離れを建てる」を第1回から読みたい方は、こちら


2006年08月09日掲載

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マカロニ・アンモナイト編集部